不当表示に対する課徴金制度の導入 影響は?
相談者 SYさん(55)
食品偽装が一時期、社会問題になり、一流ホテルやレストラン、大手百貨店などが軒並み謝罪に追い込まれたことがありました。後に措置命令を受けた会社の社長が当時、記者会見の席で悪びれずに「偽装ではなく誤表示」と繰り返し発言していたのを今も鮮明に覚えています。
私にも苦い思い出があります。
このコーナーに掲載された「伊勢エビ偽装の宴会で大恥、料理店の法的責任は?」(2013年12月25日)の解説を読んだ時には、怒りを通り越してあきれ果てた記憶があります。
なにしろ、「車エビ」の代わりのブラックタイガーだけでなく、「鮮魚のムニエル」に冷凍の魚、「九条ねぎ」に一般的な白ネギ、「フレッシュジュース」に既製品のオレンジジュース、「(ビーフ)ステーキ」に牛脂注入肉、「伊勢エビ」にロブスター、「芝エビ」にバナメイエビ、「日高産キングサーモン」にニュージーランド産、「カラスミ」にサメやタラの卵、「房総アワビ」と称して
芝エビや車エビの代わりに使われていたバナメイエビや、伊勢エビの代わりに使われていたミナミイセエビなど、それまで誰も知らなかった品種が当時一躍有名になったりしました。
ただ、当時、納得がいかなかったのは、そうした偽装をした会社が、適切な制裁を受けなかったという印象があるのです。偽装表示をした会社は、利用客に対し返金すると発表しましたが、全ての人がわざわざ時間と交通費をかけてまで返金を求めになど行くはずもありません。もちろん、私も面倒なので何もしていません。報道によれば、レシートなしでも自己申告だけで返金対応したところもあった反面、わざわざ出かけていっても、本当に問題の食品を食べたのかどうか確認ができずに返金を断られた場合もあったそうで、結局は業者のやり得ということになってしまった印象がぬぐえませんでした。
ところで先日、新聞を読んでいたら、景品表示法を改正して不当表示に対する課徴金制度が導入されたと書いてありました。ぜひ、この制度の内容を教えてくれますか。(最近の事例をもとに創作したフィクションです)
(回答)
迫る景品表示法の課徴金制度の導入
最近、不当表示を取り締まる「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)に課徴金制度が導入されることが、企業において話題となっています。後に詳しく解説しますが、違法な表示によって5000万円以上を売り上げた企業から、売上額の3%(3年間分を上限)を没収することなどを柱とする制度です。
企業法務の世界において、景品表示法違反は重大なリスク要因であると考えられています。措置命令を受けることで社名が公表され、消費者や取引先からの信用を失いかねないからです。
ただ、措置命令を受けるだけにとどまっている限り、多額の賠償金を負担して倒産に追い込まれるようなことにはなりませんし、医薬品医療機器等法(旧薬事法)のように表示違反だけで社長が逮捕されるようなリスクもないという認識が従来からあったと思われます。つまり、企業名を公表されることを意に介さないような企業や、確信犯的に不当表示を繰り返す企業などに対しては、抑止力には何らならなかったわけです。
しかし、今後、例えば主要商品の売上額が大きい企業などにおいて、当該商品に関し不当表示との判定を受けた場合、
相次いだ食品偽装事件に対する不満
2013年秋、ホテル、百貨店、レストランなどにおける食品偽装表示が次々と表面化し社会問題となりました。2013年12月19日には、消費者庁が阪急阪神ホテルズ、阪神ホテルシステムズ、近畿日本鉄道に対して、景品表示法に基づき措置命令を行いました。3社に対し、「対象料理等の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すもの」と指摘。景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底し、再発防止策を講じて、これを役員及び従業員等に周知徹底すること、今後は同様の表示を行わないことなどを命じたわけです。
しかし、その後も不当表示は繰り返されています。
株式会社木曽路は、「松阪牛しゃぶしゃぶコース」と称する料理について、「松阪牛入荷いたしました。木曽路が目利きした、最高級の松阪牛をお楽しみ下さい」などと表示していながら、松阪牛ではない和牛の肉を使用していたなどとして、措置命令を受けています(2014年10月15日)。
株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは、ホテル内で運営するレストランで、「黒毛和牛ヒレ肉の低温ロースト 磯の香りをのせた岩
また、食品表示ではありませんが、玄関などにつり下げて「虫をよせ付けない」などとうたった空間用虫よけ剤の表示は不当表示であるとして、アースやフマキラーなどの著名企業に措置命令が出されました(2015年2月20日)。これらの事案は新聞などでも大々的に報道され、話題になりました。
相談者も指摘するように、不当な表示を行った企業に対する従来からのペナルティーである措置命令は、違反行為者の不当な利得を剥奪するものではなく、経済的な観点からみれば違反行為の抑止機能を十分に果たしていたとは言えない状況にあったわけです。まさに消費者から見て、「結局は業者のやり得ということになってしまった印象」がぬぐえませんでした。
課徴金制度の法制度化への動き
食品表示の不正事案が社会問題となったことを受け、政府は「食品表示等問題関係府省庁等会議」を設置。同会議において、これらの不正事案は国内外の消費者の「日本の食」に対する信頼を失墜させるおそれがあるとして、消費者の信頼回復のための「食品表示等適正化対策」が決定されました。
この適正化対策の一つとして示されたのが、景品表示法における「違反事案に対する課徴金等の新たな措置の検討」でした。その後、消費者委員会が「不当景品類及び不当表示防止法上の不当表示規制の実効性を確保するための課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置の在り方について(答申)」を発表しました。
この答申には、景品表示法に課徴金制度を導入することの必要性として、次のような記載があります。
「不当表示による消費者被害事案は、表示と被害発生の因果関係の立証が困難であることや、そもそも何をもって損害と考えるべきかが必ずしも明らかでないことから、個々の消費者が被った損害額の算定が困難であったり、算定できたとしてもその金額が僅少であったりして、その特性上、民事訴訟になじまない場合も多い。
……いったん被害が生じてしまうと、消費者がその被害を事後的に回復することの困難なケースが多く、不当表示による消費者被害に対しては、これを事前に抑止することの必要性が高い。
……これに対処する現行景品表示法上の措置命令は、将来に向けて違反行為者の不当表示を中止させ、被害の拡大と再発を防止するものであって、事前抑止のインセンティブとして十分とはいえない。すなわち、消費者による被害回復が困難であることは、不当表示によって得られた売上による不当な利得が不当表示を行った事業者の手元に残ることを意味する。
これに対し、現行の措置命令は、違反行為者の不当な利得を剥奪するものではなく、経済的な観点からは違反行為の抑止機能を実効的に果たしているとはいえない。違反行為者に対して経済的不利益を賦課する課徴金制度の導入により、不当表示で顧客を獲得した事業者から不当な利得を剥奪することは、その抑止力により消費者被害発生の未然防止に有効であるばかりでなく、法令を
したがって、不当表示を事前に抑止するための方策として、現行の措置命令に加え、違反行為者に経済的不利益を賦課し、違反行為に対するインセンティブを削ぐ課徴金制度を導入する必要性は高い」
まさに相談者が指摘するように、「業者のやり得」を許さないために、今回の課徴金制度が導入されたわけです。
改正景品表示法の成立
こうした状況を受け、2014年11月19日の国会において、景品表示法に課徴金制度を導入する「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」が可決・成立し、公布日から1年6か月以内に施行させる予定となりました。普通にいけば、来年春頃に施行される見通しになっています。
この法律の目的は、不当な表示による顧客の誘引を防止するため、不当な表示を行った事業者に対する課徴金制度を導入するとともに、被害回復を促進する観点から返金による課徴金額の減額等の措置を講ずることです。
景品表示法による表示規制
課徴金制度を理解するには、その前提となる不当表示に関する理解が不可欠ですので、ここで簡単に説明しておきたいと思います。
今回改正された景品表示法とは、一般消費者に誤認される「表示」や過大な「景品」類の提供を制限及び禁止する法令です。このコーナーでも、関連する事案が話題となるたびに何度も繰り返し登場しており、ある意味、消費者にとって非常に身近な法律であると言えます。
特に「表示」に関して言えば、商品・サービスの品質や価格についての情報は、消費者が選択する際の重要な判断材料です。それが実際よりも著しく優良または有利であると見せかける表示が行われると、消費者の適正な選択を妨げられることになるため、法律によって、消費者に誤認される不当な表示が禁止されているわけです。
優良誤認表示
冒頭の食品偽装表示のケースで問題となるのは、同法4条1項1号の「優良誤認」となります。
優良誤認表示とは、商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示であり、法は以下のように定めています。
「商品又は役務(注:サービスのことです)の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
消費者庁が公表している資料には「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示」の具体例が示されています。
(1)セーターに「カシミヤ100%」と表示していたが、実際にはカシミヤ混用率は80%程度であった場合。
(2)宅配便で、「翌日配達」と表示していたが、実際には一部の地域にしか翌日に届いていなかった場合。
(3)10万キロ以上走行した中古自動車に「3万5千キロ走行」と表示した場合。
他方、「事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示」の具体例としては以下のような事例が挙げられています。
(1)携帯電話で「この機能はこの携帯電話だけ」と表示していたが、実際には他社の携帯電話にも同じ機能が搭載されていた場合。
(2)健康食品に「栄養成分が他社の2倍」と表示していたが、実際には同じ量しか入っていなかった場合。
(3)「この技術は日本で当社だけ」と広告しているが、実際は競争業者でも同じ技術を使っていた場合。
なお、4条2項には「不実証広告規制」と言われる規定があります。
これは、優良誤認表示(4条1項1号)に該当するか否か判断するため必要があると認めるときは、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるというものです。その際、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、不当表示とみなされるというものです。
有利誤認表示
景品表示法4条1項2号では「有利誤認表示」が禁止されています。有利誤認表示とは、価格や取引条件に関する不当表示のことで、法は次のように定めています。
「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
消費者庁が公表している資料では、「実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」の具体例として以下のような事例があります。
(1)住宅ローンについて、「○月○日までに申し込めば優遇金利」と表示したが、実は、優遇金利は借入れ時期によって適用が決まるものであった場合。
(2)土産物の菓子について、内容物の保護として許容される限度を超えて過大な包装を行った場合。
(3)「優待旅行を特別価格5万円で提供」と表示しているが、実際は通常価格と変わらない場合。
他方、「当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」も具体例が紹介されています。
(1)他社の売価を調査せずに「地域最安値」と表示したが、実は近隣の店よりも割高な価格だった場合。
(2)「無金利ローンで買い物できるのは当社だけ」と表示したが、実は他社でも同じサービスを行っていた場合。
(3)「他社商品の1・5倍の量」と表示しているが、実際は他社商品と同程度の内容量しかない場合。
違反行為に対する従来のペナルティー
事業者が、景品表示法4条1項に違反する不当表示を行った場合、現行法上、消費者庁長官は当該事業者に対し、不当表示行為の差止め、再発防止のために必要な事項、これらの実施に関する公示その他必要な事項を命じる「措置命令」を行うこととなります(景品表示法6条)。
また、違反行為を迅速・効果的に規制できるように、各都道府県知事によっても景品表示法は運用されています。つまり、各都道府県知事には違反行為の差止めや訂正広告の指示、違反者が指示に従わない場合に消費者庁長官に措置を求めることができ、違反の疑いのある事業者に報告命令や立ち入り検査を行うことができるという権限が与えられています。
事前抑止力を欠く措置命令
さて、すでに説明したように、従来から存在するペナルティーである措置命令は、将来に向けて違反行為者の不当表示を中止させ、被害の拡大と再発を防止することを目的とするものであり、事前抑止力に欠ける面があることは否めませんでした。それは、すでに紹介した消費者委員会の答申にも明記されています。
こういった状況を受けて、景品表示法が改正されたわけです。被害の拡大と再発を防止することを目的とする措置命令に対して、課徴金制度は、事前抑止の動機付けとして違反行為者に対して経済的不利益を賦課し、不当利得の剥奪などの効果をもたらすものとして位置づけられています。
新制度における課徴金は売上高の3%相当額
以下、課徴金制度の概要について説明していきます。
課徴金納付命令の対象は、すでに説明した「優良誤認表示」と「有利誤認表示」とされています。なお、不実証広告規制に関する表示行為については、一定期間内に当該表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出がない場合には、当該表示を不当表示と推定して課徴金が賦課されることになります。
賦課金額の算定方法は、対象商品・サービスの売上高の3%相当額とされています。この3%という数字は、過去に措置命令を受けた事業者などの売上高営業利益率から導き出されています。ちなみに、消費者委員会本会議・議事録には次のような答弁が記録されていますので紹介しておきます。
「いわゆる売上高営業利益率。過去の違反した事業者、措置命令を受けた事業者。今回ですと、消費者庁発足以降の事件で措置命令を受けた事業者のうち、わかるものということですけれども、その売上高営業利益率を出しまして、事業者全体の売上高営業利益率ということですけれども、それを並べて真ん中のところが、ちょっと上回っているのですけれども、3%ちょっとということでしたので、……3%という数字を出してきたということであります」
「不当表示による利得を剥奪することによって、不当表示を抑止するという制度ということでございますけれども、本来的には個々の不当表示による、まさに利得というものが計算できれば、その数字を使って何らかのものを出してくるということがあるかもしれないですが、残念ながらそういう数字がない。……そこで、不当な利得を何で擬制していくかという話になってくるのですけれども、それが可能な数字ということで売上高営業利益率を持ってきたということでございます。」
課徴金額が150万円未満の場合は対象外
課徴金額が150万円未満となる場合、つまり売上額5000万円未満の場合には、課徴金を賦課しないこととされています(いわゆる「裾切り基準」)。これは、課徴金制度にかかる執行の負担などが考慮されたためです。
売上高の対象期間は3年を上限
売上高の対象期間は、原則として、不当表示をやめた日から逆算して3年間が上限とされています。つまり、不当表示をやめた日から逆算して3年間の売上高の3%相当額が賦課金額の上限となります。
ただし、(1)課徴金の対象となる違反行為(不当表示)をやめた後、そのやめた日から6ヶ月を経過する日、又は(2)当該事業者が違反行為(不当表示)により
主観的要件(相当の注意)
違反事業者が、違反行為が行われた期間を通じ、当該表示が違反行為であることを「知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき」には、課徴金賦課の対象から除外されます。つまり、違反行為であることを知らなかったこと、かつ、知らなかったのは相当の注意を怠ったからではなかったことが認められれば、課徴金賦課の対象から除外されることとなるわけです。
ここでいう「相当の注意」とは、取引先から提供される書類等で当該表示の根拠を確認するなど、表示をする際に必要とされる通常の商慣行に則った注意をしていれば足りるとされています。
自主申告による課徴金の減額・除斥期間
課徴金納付命令の対象となる行為を行った事業者であっても、違反行為を自主申告した事業者に対しては、課徴金の2分の1が減額されます。ただし、その自主申告が当該違反行為についての調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してなされた場合には減額されません。
また、違反行為をやめた日から5年を経過したときは課徴金を賦課できないこととされています。
自主返金の実施による課徴金額の減額等
不当表示による一般消費者の被害回復を促進する観点から、事業者が所定の手続きに沿って対象消費者に自主返金を行った場合(返金措置を実施した場合)に、返金総額を課徴金額から減額する、あるいは返金相当額が課徴金額を上回るときは課徴金の納付を命じないこととしています。
自主返金により課徴金の減額を受けようとする事業者は、実施予定返金措置計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けます。そして、事業者は内閣総理大臣の認定を受けた実施予定返金措置計画に沿って適正に返金を実施して、報告期限までに報告を行わなければなりません。
報告を受けた内閣総理大臣は、認定した実施予定返金措置計画に適合して実施されたと認めるときは、返金総額を課徴金額から減額する、あるいは返金相当額が課徴金額を上回るときは課徴金の納付を命じないこととなります。
景品表示法に対する体制整備を急ぐべき
課徴金が賦課された場合、従来の措置命令の場合と同様に、課徴金納付命令が出されたことが公表されることになり、企業の信用や評判が低下して、事業遂行に多大な影響が出る可能性があります。さらに、当該製品の売上額によっては、企業に大きな金銭的損害が生じることになります。したがって、企業は今まで以上に、景品表示法に対して注意を払う必要が出てきます。
冒頭に述べたような、措置命令によって企業名を公表されることを意に介さないような企業や、確信犯的に不当表示を繰り返す企業であっても、今後は賦課金によって、市場から強制的に退場させられる可能性さえも出て来るわけです。
そこで、どのような対応をするべきかですが、まず言うまでもなく、不当な表示を未然に防止することが不可欠となります。
景品表示法に抵触するような不当表示をした場合に企業が被るリスクを関係者全員に認識させ、不当表示を行うことのない体制を構築することが重要です。例えば商品の品質や規格が変更されたのに、表示が従来のままであったために不当表示となってしまうような場合など、意図せずに不当表示が発生することを防止するために、表示と商品やサービスの内容に
さらに、どのように制度を整備しても、個人情報
不当表示が疑われる事態が発覚した場合には、迅速に情報を収集した上で適切な対応をし、場合によっては速やかに消費者庁に景品表示法違反の事実を自己申告できるようにしておくための体制構築も重要であると考えられます。
相談者は、食品偽装問題で後に措置命令を受けた会社の社長が事件当時、記者会見の席で悪びれずに「偽装ではなく誤表示」と繰り返し発言していたのを今も鮮明に覚えているとのことでした。食品偽装事件における阪急阪神ホテルズ社長の記者会見は、不祥事対応の典型的な失敗例となりました。そのような事態を繰り返さないために、日頃から、メディア対応の準備も必要になると思われます。
今回の法改正によって、景品表示法は、企業法務の観点からみて、従来以上に存在感を増した重要な法律になるので、各企業は消費者庁が今後発表するガイドライン等に十分注意して、景品表示法に対する体制づくりを急ぐ必要がありそうです。