ゲームキャラクターの無断使用で逮捕?
相談者 AKさん(33)
私は、自他共に認めるゲームオタクです。まだ独身で、ちょっと前までフリーターで食いつないでいました。仕事に縛られるより、好きなゲームを好きなだけやれるって最高です。特に格闘ゲームにはまっていて、ゲームに登場するキャラクターのイラストを描くのも大好きです。
ゲームキャラクターをモデルに、同人誌に描いたイラストや漫画を投稿したり、自分のブログ上にそれらを載せたりしていますが、自分で言うのもなんですけど、私が描いたキャラクターは、実物のキャラクターよりリアルで、友達も「プロはだしの腕」と言ってくれます。漫画のページやゲーム画面そのものをそのままコピーして載せたりすることは著作権法の問題がありそうなので、もちろんしていません。
しかし、1年前にコミケ(コミックマーケット)で、私が売り出した同人誌が若い女の子たちの間でなぜか、大人気になりました。同人誌は1冊1000円と強気の値付けでしたが、定期的に開催されるコミケで完売が続き、増刷に次ぐ増刷。お小遣い程度とは言えないほどの収入を得ることができました。
ところが、先日、私のスマートフォンが鳴り出しました。端末に表示された電話番号には見覚えはなかったんですが、いつまでたっても切れないので、仕方なく出てみました。
「もしもし、AKさんでいらっしゃいますでしょうか。当社のゲームキャラクターである○○の件なんですが……」
受話器の向こうから聞こえてくる男性の声はくぐもってはいましたが、なんだか詰問調でした。私も正直びびってしまい、これまでの経過を説明したうえで、ゲームキャラクターのイラストを同人誌に描き、販売したことを認めました。すると、その人は「それは著作権法に違反していますね。当社としては損害賠償を考えているんですがね……」とそう言い残して、一方的に電話を切ってしまいました。
私が描く漫画の登場人物は、ゲーム好きが見れば「ああ、あのゲームのキャラクターだな」と気がつくと思います。とはいえ、全くのコピーではない以上は問題ないと思っていました。先日の電話も、私の人気をねたんだ、だれかのイタズラの可能性もあるわけで、半信半疑のところもありました。ところが、たまたま先日、コミック誌のコラムで似たような裁判があると書いてあることに気がついて、正直やばいと……と思ったんです。しかも、民事責任だけでなく、刑事責任まで問われると書いてあります。もしかしたら、私も著作権法違反で、民事責任だけでなく、刑事責任まで問われて前科がつく可能性があるのでしょうか。(最近の事例をもとに創作したフィクションです)
(回答)
「ハイスコアガール」事件
大阪府警は2014年11月17日、コミック誌に連載されていた人気漫画「ハイスコアガール」で、他社のゲームに登場するキャラクターを無断で使用したとして、コミック誌の発行元である株式会社スクウェア・エニックス、同社の編集出版の役員や担当者、漫画の作者、合計16人を著作権法違反の疑いで大阪地検に書類送検しました。
報道によれば、本件は自社のゲームソフトに登場するキャラクターの無断利用により著作権侵害をしたとして、株式会社SNKプレイモアが、大阪府警にスクウェア・エニックスを刑事告訴したことを受けてとのことです。
SNKプレイモア側は、「ハイスコアガール」には同社が著作権を持つ対戦型格闘ゲーム(「ザ・キング・オブ・ファイターズ」「サムライスピリッツ」「餓狼伝説」など)に関わるキャラクターや画像、ロゴ、パッケージなどが随所に、ほとんどそのまま使用され、計166か所でSNKプレイモアの著作権が侵害されていると主張して、刑事告訴に及んだということです。
この事件は、大阪府警生活経済課が2014年8月5日、著作権法違反容疑で、スクウェア・エニックスの本社など関係先を家宅捜索したことが報道されて以来、業界でも話題を集めていました。それが、書類送検という新たな事態を受けて、驚きの声が上がりました。本件に関してはその後、公訴提起がなされたとの報道はありませんが、今後の展開が注目されるところです。
スクウェア・エニックス側は、このような事態に対応して「ハイスコアガール」の回収・販売停止・一時休載といった措置を取りました。同時に、対抗措置として2014年10月8日、SNKプレイモアに対して、著作権侵害の事実がないことの確認を求め、債務不存在確認の民事訴訟を大阪地方裁判所に提起して、現在係争中ということです。つまり、著名なゲーム会社同士が著作権を巡り、正面から激しく対立するという様相を呈しているのです。
あの「スクエニ」が・・
この事件がこれほど世間の注目を集めたのは言うまでもなく、ドラゴンクエストやファイナルファンタジー(FF)シリーズなど、人気ゲームソフトの製作で知られる、あの「スクエニ」が関与している点にあります。
報道によると、「ハイスコアガール」のアニメ化にあたって、映像製作会社がSNKプレイモアにキャラクターなどの使用許諾について問い合わせたことがきっかけで無断使用が発覚しました。一方で、漫画に頻繁に登場する「ストリートファイター」のカプコン社などは、同作品に対するキャラクター使用を正式に許諾していたということですから、なぜスクウェア・エニックスがSNKプレイモアから許諾を取っていなかったのかの事情は不明です。
漫画単行本の最後には「SPECIAL THANKS」として、カプコン、コナミ、セガなどと並んで、「株式会社SNKプレイモア」と明記されています。「(c)2008 SNK PLAYMORE CORPORATION All rights reserved」とも書かれており、この記載を見る限り、当然承諾を取っていたと考えるのが普通です。現に漫画の作者は、スクウェア・エニックスが許諾を得ていると思っていたと主張しているとのことです。
これに対し、スクウェア・エニックスは、前述の民事裁判の中では、(1)承諾を受けていたという主張ではなく、そもそも複製権侵害にはあたらない(2)複製権侵害にあたる箇所があったとしても著作権法第32条の「引用」に該当するため、著作権侵害には該当しない――と主張しているということです。
現状では、両社の間に事前にどのようなやり取りがあったのか分かりませんが、いずれ裁判の過程で、そのあたりの事情が出てきて、紛争の背景が明らかになるかもしれません。
著作権と刑事手続に関する声明
当該事件を契機として、ゲームキャラクターの著作権問題が注目を集めるようになり、にわかに活発な議論が交わされる状況となっています。
特に、スクウェア・エニックスの編集出版の役員、担当者、漫画の作者らが大阪地検に書類送検されたことを受け、知的財産法の研究者や実務家ら27人が2014年12月22日、「『ハイスコアガール』事件について―著作権と刑事手続に関する声明―」を発表しています。その中で、「本件のように著作権侵害の成否が明らかではない事案について、刑事手続きが進められることに反対する。」とし、以下のような理由を示しています。
「刑事手続・民事裁判で問題となっている『ハイスコアガール』内でのゲームのキャラクターの利用態様については、著作権侵害の要件としての類似性が認められない可能性、また適法な引用(著作権法32条)に該当する可能性等があり、著作権侵害が明確に肯定されるべき事案とは言い難い。著作権を巡る紛争では侵害の成否が『微妙』な事案が少なくない。民事裁判においても第一審、第二審、上告審と侵害の成否の判断が分かれることがしばしばある。過去の刑事事件においても『微妙』な事案につき公訴が提起され、最終的に無罪とする判決が確定した裁判例がある。
著作権侵害に係る刑事罰・刑事手続は、典型的な海賊版の事案等明らかな著作権侵害行為が行われている事案であり、かつ民事訴訟では十分な権利行使ができない状況においては、実効性の点で重要な意義を有するものである。
しかし、本件のように著作権侵害の成否が明らかでない事案について、強制捜査や公訴の提起等の刑事手続が進められることは、今後の漫画・アニメ・ゲーム・小説・映画等あらゆる表現活動に対して重大な萎縮効果をもたらし、憲法の保障する表現の自由に抵触し、著作権法の目的である文化の発展を阻害することになりかねない。従って、著作権侵害に係る刑事手続の運用、刑事罰の適用に対しては謙抑的、慎重であることが強く求められる」
この意見に対してはネット上でも、賛成、反対の様々な立場から議論が交わされており、必ずしも賛同する意見ばかりではないところに、本問題の難しさが現れていると思います。
キャラクターの著作物性
上記意見表明の中では、「ハイスコアガール」内におけるゲームキャラクターの利用態様が著作権侵害になるかどうかについて言及されています。ここでそもそも、キャラクターが著作物として保護されるのか、保護を受けられるとすればどのような場合なのかについて、最初に簡単に説明しておきたいと思います。
この点、最高裁判所・平成9年7月17日判決は、「ポパイ」「スヌーピー」「サザエさん」など、その名前を聞けば誰もが容易に思い浮かべる容貌、特徴など、抽象的な人物像としてのキャラクター自体が著作権の保護を受けられるのかという点について、漫画のキャラクターは漫画の著作物の保護から独立して保護される著作物性はないとしています。同判決は、「著作権法上の著作物は、『思想又は感情を創作的に表現したもの』とされており、一定の名称、容貌、役割等の特徴を有する登場人物が反復して描かれている一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない」と判示しているのです。この判示は、ゲームのキャラクターについても同様に考えられます。
では、キャラクターが著作物ではないなら、キャラクターを無断利用しても著作権侵害にはならないのでしょうか。もちろん、そうではありません。
そのキャラクターを表現した具体的な図柄そのものは、著作権の保護を受けるのであり、さらに上記判決は、「著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいうところ、複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるというべきである」としています。つまり、問題となる絵が連載漫画の何回目のどのコマの図柄を複製したものであるかといった点まで特定する必要はなく、それを見た人が、絵に現れた特徴から、「あのキャラクターの絵だ」と想起できるようなものであれば足りるとしているわけです。
著作権侵害の要件としての類似性
さて、前述の意見表明では、刑事手続き・民事裁判で問題となっている「ハイスコアガール」内でのゲームのキャラクターの利用態様について、「著作権侵害の要件としての類似性が認められない可能性」、「適法な引用(著作権法32条)に該当する可能性」があると、法的問題点を整理して指摘しています。また報道で見る限り、スクウェア・エニックスは民事裁判で同様の主張をしているようなので、以下、問題点をそこに絞って説明したいと思います。
まず類似性の問題ですが、前述の通り、最高裁判決は「複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるというべきである」としています。また、同事件の控訴審である東京高等裁判所・平成4年5月14日判決も「原著作物と同一性のある著作物を再製したことを主張・立証すれば足りるのであって、原著作物の特定の画面を特定することまで必要とするものではない」としています。
ハイスコアガールの場合、漫画の中で、主人公らがSNKプレイモアの現実のゲームをプレーしていることを前提に、そのゲーム内のキャラクターを登場させているのですから、多少絵が鮮明でなくても、読者は当然、SNKプレイモアのゲームに登場する特定人物のキャラクターであると知りうるわけであり、複製権侵害にあたるとの主張が認められる可能性は高そうな印象です。
ただ、この点は、具体的にSNKプレイモアが著作権侵害であると主張している個所が明らかにされていませんので明確な判断はできません。今後、問題箇所が特定されれば、一つ一つ検証されていくことになります。なお、報道によれば、SNKプレイモアは刑事告訴の際、著作権侵害の部分として、計166か所を指摘したとのことですが、民事裁判の方では全部で1000か所近くあるとの主張をしているとのことであり、その特定だけでも、ある程度時間がかかりそうです。
適法な引用(著作権法32条)に該当する可能性
次に、「適法な引用」に該当する可能性についてです。著作権法32条1項は、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」と規定し、一定の条件の下、著作物を引用して利用できるとしています。
最高裁判所・昭和55年3月28日判決は「引用とは、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいうと解するのが相当であるから、右引用にあたるというためには、引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならないというべき」と判示して、「明瞭区別性」と「付従性」を要件としています。
この判決は、スキーヤーの描くシュプールをタイヤの痕跡に見立てて、その起点にあたる部分に、広告用に撮影されていた別のスノータイヤの巨大な写真を合成したモンタージュ写真が問題とされた事案であり、ご存じの方も多いと思います。
この点の判断は、漫画全体の中で、SNKプレイモアのゲーム画面が、どのような位置づけを持っていたのかなどが総合的に検討されていくことになります。
著作権侵害における刑事責任
著作権を故意に侵害した者に対しては刑事責任も問われることになります。著作権法119条1項では、「著作権を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されています。ただ、仮に民事上で著作権侵害であると判断されても、過失で侵害した場合には刑事責任は問われません。あくまでも、故意で侵害した場合のみ刑事責任が問われることになります。
今回の件では、漫画の作者自身はスクウェア・エニックスが許諾を得ているものと思っていたと主張して、故意がなかったと主張しているように思われます。
この点、スクウェア・エニックスが故意についてどのような主張をしているかは明らかにされていません。ただし、前述したように、発行した漫画単行本巻末には、漫画に使用したキャラクターが登場するゲームの著作権を有するSNKプレイモアの名前が著作権表示に使われる(c)というマーク付きで表示されており、あたかも許諾を得たような体裁になっています。つまり、少なくともスクウェア・エニックスは、SNKプレイモアがゲームソフトの著作権者であることを知っていながら、そこに登場するキャラクターを利用したわけです。
(c)というマークは、一般にCマークやマルCマークと言われるものであり、著作権が表記される際に著作者の名前、著作物の公表年月日等と一緒に使用されるマークです。しかし、(c)というマークを表記しても、日本国内においては法律的な効果は特段認められていません。日本は何らの手続き等も必要とせず、著作物の創作がなされたときに著作権が発生するという無方式主義を採用しているからです。
ただ、著作権法14条は、「著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるものとして周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。」としていることから、(c)とともに表示されている者は著作者としての推定を受けることになるとされています。
今回、スクウェア・エニックスは、(c)とともにSNKプレイモアの名前を記載していたということから、SNKプレイモアが当該ゲームソフトの著作権を有することを知っていた上で、許諾を得ずにそのゲームソフトに登場するキャラクターを利用したことになる、つまり、著作権侵害の故意があったのではないのか、という指摘がなされているわけです。
TPPと著作権侵害の非親告罪化
本件の場合、SNKプレイモアが大阪府警にスクウェア・エニックスを刑事告訴したことを受け、大阪府警が捜査し、大阪地検に告訴したという経緯があります。著作権法123条1項で、第119条の罪は「告訴がなければ公訴を提起することができない」とされており、著作権侵害は親告罪とされているためです。つまり、名誉
しかし、最近の報道によると、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉において、著作権侵害を非親告罪とすることで調整を進めているとのことです。著作権侵害が非親告罪とされると、被害者である著作権者の告訴がなくても、公訴の提起が可能となります。
非親告罪化は、海賊版を摘発し易くなるなどのメリットがあるとも言われますが、著作権者の意図にかかわらず、また一般からの通報により立件が可能となります。権利者があえて黙認している著作権侵害についても立件される可能性があることから、文化の発展を阻害することになりかねないとの懸念も示されています。
例えば、相談者のように、既存の漫画やゲームのキャラクターを元ネタにした、二次創作漫画が多数出品されている、コミケなどへの影響が懸念されたりしています。日本では、本来であれば著作権者の許可を取るべきところ、その点があいまいなままに放置されてきたことによって、この手の二次創作文化が栄えてきた背景がある訳ですが、こうした文化の先行きが懸念されているわけです。
日本弁護士連合の反対意見
著作権侵害の非親告罪化は以前から議論されてきました。日本弁護士連合会は、2007年2月9日、「著作権罰則の非親告罪化に関する意見書」を発表し、「著作権侵害等の犯罪が親告罪とされている理由は、その保護法益が私的利益であること、さらに加えて、これを認知するのは侵害行為に最も敏感で、しかもその事情をよく知る被害者(著作権者等)の告訴に待つのが、相当であるからである」としています。その上で、「私益性が強い著作財産権侵害、著作隣接権侵害の犯罪についてこれを非親告罪とすることも、刑罰法規の謙抑性という観点から見て大いに問題がある。また非親告罪化は公訴官に大きな負担を負わせる反面、言論・文化に密接にかかわる犯罪について、捜査機関の権限を拡大する点、および起訴便宜主義のもと
著作権侵害は、アメリカでは非親告罪とのことですが、刑事罰の範囲は商業的利益または私的経済的利益を目的として侵害する場合に限定されています。しかも、フェアユース(公正な利用)規定も制定されており、被害者が訴追を求めない場合には法律を執行しないことが原則とされていますので、非親告罪といっても一定の枠が設けられています。そうした配慮なく、単純に著作権侵害を非親告罪化した場合、日弁連の主張しているように、文化の発展を阻害することになりかねないわけです。
TPPと著作権保護の問題については、2013年9月11日付の本コーナー(「TPP交渉の結果、「吾輩は猫である」がタダで読めなくなる?」)で、著作権の保護期間延長問題について解説していますが、著作権侵害の非親告罪化も注目されるところなのです。
キャラクターの法的保護に配慮を
ここまで、「ハイスコアガール」事件を題材に、キャラクターが著作権法でどのように保護されているかを説明してきました。
相談者の場合、ゲーム好きが見れば、すぐに「ああ、あのゲームのキャラクターだな」と気がつくというような絵を描いているということでした。この点は、最高裁判所の判例からみて、「全くのコピーではない以上は問題ない」と言い切れるものではありません。そういう意味では、原則として、ゲームソフトの著作権者から許諾を得る必要があると言えるでしょう。
とはいえ、ゲーム会社によっては、一定の範囲内でのキャラクター利用を許諾している場合もあり、相談者の行為が全て著作権侵害に問われるとは限りません。相談者としては、そのあたりを注意深く確認した上で、慎重に行うことが必要です。
なお、相談者の行為は著作権法だけではなく、不正競争防止法に抵触する可能性もあり得ます。商標登録や意匠登録がなされている場合には、商標法や意匠法に抵触することにもなり得ます。著名なキャラクターを利用する際には、著作権法上の問題だけではなく、様々な角度から慎重に検討した上で行うことが本来必要となることだけは、きちんと認識しておいて欲しいと思います。
漫画読者のためにも、早期に円満な解決を
今回の原稿を書くにあたり、私も早速、ハイスコアガールを買い求め読んでみました。率直に言って、ゲームに対する愛情を随所に感じる良い漫画だと思いました。私も、学生時代、渋谷のゲームセンターに籠もり、ハイスコアを出すのに熱中していた経験を持つので、主人公の気持ちはよく分かりますから(ゲーム好きが高じて、現在、著名ゲーム企業の監査役なども務めています)、今回の事件には関心を持っています。
スクウェア・エニックスとSNKプレイモアとの間に何があったのかは
両社にはぜひ、いつまでも反目を続けるのではなく、ゲームを愛する者同士で、何らかの話し合いによる解決を期待したいところです。スクウェア・エニックスのHPでは、「法的判断が明らかになるまで販売を差し控えるべきとの判断」から、漫画は現在連載を一時休載しているとのことですが、一読者としてはぜひ、漫画の続きを読みたいと思っています。