昔の知り合いからネットを使ったストーカー行為 どうすればいい

   

昔の知り合いからネットを使ったストーカー行為 どうすればいい?

相談者 KJさん
  • イラストレーション・いわしま ちあき

 「いーやーだぁー。おまえと別れるくらいなら俺はここで死ぬぅー」。彼は絶叫しながら、地下鉄のホームに進入してきた電車に向かって飛び込もうとしました。私は慌てて彼の体に抱きついて止めました。その途端、彼は向き直り、私の体をすごい力で締め上げきたのです。そして、「今さら、別れることなんて絶対に許されないんだよ」とすごみ、ものすごい形相でにらんできました。それからです。彼の執拗しつようなストーカー行為が始まったのは。

 彼と付き合い始めたのは、大学3年の時です。1年くらい会っていたのですが、なんとなく価値観の違いを感じるようになりました。というのは、アルバイト先で大人の男性と仕事をするようになり、無邪気で純粋だと思っていた彼の良さが、実は気ままで無責任なだけのように思え、彼の行動すべてに幻滅したからでした。

 “地下鉄事件”の日の夜、彼からの「電話攻撃」が始まりました。

 「何とかやり直せないか」と彼はしつこく食い下がるのです。ますます幻滅した私は携帯番号を変えて連絡を一切遮断し、同居している両親にも、「家に来ても取り次がないように」と頼みました。自宅を訪ねてきた彼が両親から門前払いされ続け、やがて連絡が途絶えました

 「無事別れることができた」。私は安堵あんどしました。

 大学卒業後、大手通信会社に勤務していたある日、驚きと恐怖心に襲われる事件が起きました。

 「お届け物です」

 宅配業者からの包みを渡されました。サインしようと、送り主の名前を見た途端、私は手が震え始めました。なんと送り主は“彼”だったのです。

 「俺はお前のことを絶対に忘れないからな」

 電話で最後に話したときの彼の言葉。忘れようにも忘れられない“呪いの言葉”が頭の中で反響し始めました。

 手にした透明なプラスチックケースの包みの中に24本のバラの花束が見えました。その日は私の24歳の誕生日でした。言うまでもなく、受け取りを拒否し、送り返しました。しかし、翌日、また別の宅配業者が24本のバラの花束を届けに来たのです。彼が何度、送ってこようと、受け取るつもりはありませんでした。私の心は恐怖心で一杯になりました。

 「もう一度やり直したい」。やがて、彼からメール(メッセージ)も届くようになりました。以前、携帯番号を変えた時に携帯メールのアドレスも変更しました。ところが、私がフェイスブックを使っているのを知り、フェイスブックのメッセージ機能を利用して短時間に何度も連絡してきたのです。帰宅して、たくさんのメッセージが届いているのを見た瞬間、奈落の外に落ちていくような絶望的な気分になったものです。

 「花を受け取ってほしい」「話し合いに応じてほしい」「受け取ったものを送り返してきたのは僕を攻撃の対象にしているのか」「結婚を約束したのにそれを破棄したのだから契約不履行で慰謝料を払ってほしい」「早く真剣に自分と向き合ってほしい」「早く返事をしてほしい」「昔に立ち戻ってほしい」「僕の生活は限界だ」

 いろいろなことがつづられていました。私は彼と結婚の約束をしたことがありません。彼は妄想と現実の境目がなくなってきたようなのです。就職活動もせずに、私のことだけを思って生きているというのです。フェイスブックのアカウントはすぐに抹消しました。そしてある最悪の事態を想像しました。

 「ナイフを手にした彼が、両親と私を襲いに来る」。私は恐怖心で一杯になりました。

 友人に相談したところ、ストーカー規制法という法律があり、特に危害を加えられたり、具体的な脅迫を受けたりしなくても、警察が対応してくれるということを聞きました。ストーカー規制法について教えていただけますか?(最近の事例を参考に創作したフィクションです)

回答


相次ぐストーカー被害

 平成11年、埼玉県桶川市で起きた、ストーカー行為の末に女子大生が刺殺された事件を覚えていらっしゃる方も多いと思います。

 同事件では、被害女性が警察に相談をしても、「軽微な犯罪」として真摯しんしに受け止められなかったことが殺人にまで至ってしまった原因とされ、それを契機としてストーカー被害が社会の関心を集めました。その結果、議員立法によって、平成12年5月18日に、「ストーカー規制法」(正式名称:「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)が成立しました。ちなみに、「ストーカー」(stalker)は、「ストーク」(stalk:獲物などに忍び寄ること)に由来する言葉です。

 しかし、このような法律ができてもストーカー被害は後を絶たず、今年、全国の警察がストーカー規制法に基づき、加害者に警告した件数は8月までに1500件を超え、これまで年間で過去最多だった平成19年の1384件をすでに上回り、1年間の件数として、過去最多となったとのことです。

 つい先月も、神奈川県逗子市の女性が、元交際相手の男性に刺殺されるという痛ましい事件が発生しました。この事件では、加害男性が元交際相手の女性に対し嫌がらせのメールを1000通以上送りつけていました。にもかかわらず、後述するように、ストーカー規制法が禁止する行為類型の中に、「無言電話、連続した電話、FAX」などは挙げられているものの、「電子メール」が明示されておらず、警察が立件を見送ったとされ、同法の不備が指摘されています。

 しかも、神奈川県警が、昨年6月、脅迫メールを送ったとして加害男性を逮捕した際に、逮捕状に記載されていた、被害女性の結婚後の名前や住所などを、警察官が伝えたことが、今回の殺人につながったとも指摘されて問題とされています。

 ちなみに、刑事訴訟法第201条は「逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない」と定め、同200条1項には、逮捕状には「被疑事実の要旨」が記載されなければならない、とされています。つまり、逮捕状には、少なくとも被疑事実の概要を明記する必要があり、通常、被害者の氏名や住所などが記載されているわけです。

 ある日いきなり逮捕された時に、誰が被害者となっているどういった事件で自分が逮捕されたのか分からなければ、被疑者も、弁解するなど自らを防御することができませんから、逮捕状にそのような記載があること自体に問題はありません。ただ、ストーカー事件などのように、被害者が自分の住所や氏名(結婚後に新しくなった名前など)を意図的に隠しているような背景があることが多い犯罪類型の場合には、何らかの配慮がなされてしかるべきといえるのであって、今後、逮捕における運用に配慮することが求められるところです。

 今回は、桶川ストーカー殺人事件以来、再び社会の注目を集めているストーカー問題について取りあげてみたいと思います。

ストーカー規制法とは

 「ストーカー規制法」とは、平成12年5月18日に成立し、同年11月24日から施行された「ストーカー行為等の規制等に関する法律」のことを意味します。この法律は、その第1条に明記されているように、「ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。」ものです。

 そして、同法第3条は、「何人も、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。」と規定しています。

 また、同条で禁止されている「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」(同法第2条)とされ、次の八つの行為類型を具体的に挙げています。

 つまり、ストーカー規制法の対象となるには、「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」がある必要があります。後述の「つきまとい・待ち伏せ・押しかけ」といった行為は、政治家や芸能人の取材などの際に、テレビでよく見かけますが、そういった行為は対象とならないわけです。さらに、恋愛感情の対象者のみならず、その者と「社会生活において密接な関係を有する者」、つまり、学校の教師や職場の上司といった者に対する行為も規制の対象となっています。

禁止された八つの行為類型

(1)つきまとい・待ち伏せ・押しかけ

 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(「住居等」)の付近において見張りをし、または住居等に押し掛けることを意味します。

(2)監視していると告げる行為

 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くことを意味します。例えば、「今日はAさんと一緒に銀座で食事をしていましたね」「今日は白いスーツを着て外出しましたね」などと、口頭・電話や電子メール等で連絡する(「告げる」)ことや、自転車の前カゴにメモを置いておくなどする(「知り得る状態に置く」)ことなどが該当します。他にも帰宅直後に「お帰りなさい」と連絡することなども典型例にあたります。

(3)面会・交際の要求

 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求することを意味します。例えば、拒否しているにもかかわらず、面会や交際、復縁または贈り物を受け取るよう要求することなどが該当します。

(4)乱暴な言動

 著しく粗野または乱暴な言動をすることを意味します。例えば、大声で「バカヤロー」と粗野な言葉を浴びせることや、家の前で大声を出す、自動車のクラクションを鳴らすことなどが該当します。

(5)無言電話、連続した電話、FAX

 電話をかけて何も告げず、または拒まれたにもかかわらず、連続して電話をかけ、若しくはFAX(ファクス)装置を用いて送信することを意味します。例えば、無言電話をかけることや、拒否しているにもかかわらず、短時間に何度も電話をかけたり、FAXを送り付けることなどが該当します。もちろん、自宅ではなく、勤務先などに連絡してくることも同様です。

 ちなみに、ここには「電子メール」が明記されていません。制定当時(平成12年)の連絡手段として、電子メールがそれほど一般的ではなかったからなどとも言われています。前述のように、逗子ストーカー殺人事件では、被害者は、1000通を超えるほどの膨大な嫌がらせメールを送られています。  

 しかし、報道によれば、その内容は「殺す」というようなものではなく、「結婚を約束したのに別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」という内容などであり、脅迫等の文言はなかったとのことです。仮に、これがFAXであれば、内容にかかわりなくストーカー規制法の適用対象になったわけですが、警察は、同法の中に、「電子メール」を禁止する明文規定がないことを理由に摘発に踏み切れなかったとのことです。この警察の対応には批判が寄せられていますが、こういった事態を防ぐために、「電子メール」や「SNS」への書き込みなど、新しい形のストーカー行為も規制対象に加える同法改正の動きが出てきています。

(6)汚物などの送付

 汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くことを意味します。例えば、汚物や動物の死体など、不愉快や嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送り付けることなどが該当します。

(7)名誉を傷つける

 その名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くことを意味します。例えば、中傷したり、名誉を傷つけるような内容を告げたり、文書などを届けることなどが該当します。

(8)性的羞恥心の侵害

 その性的羞恥心を害する事項を告げ、もしくはその知り得る状態に置き、またはその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くことを意味します。例えば、わいせつな写真などを自宅に送りつけたり、電話や手紙で卑劣な言葉を告げて辱めようとしたりすることなどが該当します。

ストーカー行為とは

 ストーカー規制法では、ストーカー行為自体も定義しています。

 同法第2条2項は、「この法律において『ストーカー行為』とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復してすることをいう。」とした上で、特に、「つきまとい等」の中でも、上記(1)~(4)に掲げる行為については、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る」と限定を付しています。

具体的な手続き

 被害者が警察にストーカー被害を訴えると、警察は、前記(1)~(8)の各行為に該当し、さらに行為が反復継続する恐れがあると判断した場合には、「警告の申出」(後述する「告訴」とは異なります)を受けて、つけまとい等をやめるよう加害者に「警告」することができます。

 警告がなされたにもかかわらず、その警告が無視されると、今度は、公安委員会による聴聞を経て、「禁止命令」が出されます。ちなみに、警告の申出を受けて、緊急性が認められた場合には、公安委員会による意見聴取を経ないで、「仮の命令」を直ちに実施することもあります。

 公安委員会から「禁止命令」が出されたにもかかわらず、それでもなおストーカー行為を行った場合、「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」が科されます。

 これとは別に、相手方の行為が「ストーカー行為」に該当するとして、被害者が加害者を「告訴」し、その処罰を求めることも可能です。この際の罰則は「6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金」となっています。ちなみに、これは親告罪と言って、名誉毀損きそん罪、強制わいせつ罪、強姦ごうかん罪などと同様に、告訴をしないと公訴を提起することができず、処罰も受けないことになります。

ストーカー被害に遭ったらまずは警察へ

 現在、逗子市のストーカー殺人事件について警察に批判が集まっており、ストーカー被害に遭った際に警察に相談するのは意味がないという風潮すらあるように見えます。ただ、報道による限りにおいて、逗子警察署は、法律に則のっとってできることは行っており、それなりの抑止効果はあったように見受けられます。

 報道によれば、被害女性と加害者は、平成16年頃から交際し2年ほどで別れた後に、被害女性に嫌がらせメールが届くようになり、昨年4月に「刺し殺す」などと脅すメールが送りつけられたことから、被害女性から相談を受けた逗子署は緊急通報装置を貸し出し、6月には脅迫容疑で加害者を逮捕までしています(加害者には懲役1年執行猶予3年の有罪判決が出ています)。その上で、7月には、ストーカー規制法に基づく警告を出し、9月には監視カメラを設置もしています。今年3月下旬から4月上旬には、1089通に上る嫌がらせメールが送りつけられましたが、それ以降はメールが届かなくなり、同署は被害女性から「静観したい」との申し出を受けたものの、その後も自宅周辺で頻繁にパトロールを実施しています。

法務省、NPO団体にも相談を

 もちろん、前述のように、警察にも、今後検討していくべきいくつかの課題(電子メールに対するストーカー規制法の適用を見送った点、結婚による新しい姓や住所の秘匿に対する配慮が足りなかった点)があったのは事実ですが、それは現行の法制度の問題等に関わってくる話でもあり、警察ばかりが責められるものではないと思います。

 明確な法律違反の部分には毅然とした対応を取り、脅迫罪で立件し有罪とし、ストーカー規制法に基づく警告も出し、監視カメラの設置や、周辺のパトロールの頻度を増やす――といった今回の逗子市の事件での対応を超えた防御策を警察が取れるかというと極めて疑問です。それこそ、警察が、ストーカー被害者をSPのように個別に24時間警護しなければならなくなってしまいます。また、一般の方が、私的な警備会社に身辺警護を依頼することも費用等を考えると困難です。やはり現行法制度の中で、でき得る限りの対応を警察にしてもらうしかないと思われます。

 私たちは、つい、今回のような事件の一面だけ見て、警察は頼りにならないなどと思いがちです。しかし、警視庁のホームページでは、ストーカー規制法により「警告実施後、約90%の者がその後の行為をやめています」と説明し、警察の対応がストーカー防止に相当の効果を上げていることを強調しています。また、同ホームページでは、「警告後の行為者の動向については、定期的に被害者等との連絡を行うことにより、適切な対応に努めることとしています」などとも記述されています。

 相談者の方は、まずは、最寄りの警察署に直ちに相談に行かれることがよろしいかと思います。また、女性の場合には、法務省法務局「女性の人権ホットライン」などでも相談に乗ってくれます。または、ストーカー被害者を支援しているNPO団体などに相談されることをお勧めします。

ネット時代には特有の自衛策を講じる必要も

 逗子市の事件では、加害者の男性は、被害女性を刺し殺した後、その場で、自ら首をつって自殺しました。このように、加害者が自らの命まで顧みない、つまり逮捕や処罰といったリスクが抑止力にならないということになると、前述のように、警察も、対象者を完全に防御することが難しい現状もあろうかと思います。そういう意味では、被害者を守るための法律の改正や新たな仕組みづくりなどが、今求められています。

 また、ストーカー規制法は、平成12年にできてから一度も改正されていないのであり、その内容がネット時代に対応し切れていなかったことが、今回の悲劇の一因ともなっていることは明らかです。時代の変化やストーカー行為の多様化に合わせて、規制の対象を工夫することを検討する必要もあるかと思われます。

 なお、逗子市の事件では、加害者がネットを利用して、被害女性の情報収集などをしていたことが報じられています。質問掲示板「ヤフー知恵袋」などには、被害女性の夫の名前を挙げ、「昔、お世話になった方を捜しています。詳しい住所が分かりません。ご存じの方がいらっしゃったらMAILで連絡して下さい」との書き込みを含む、多数の質問投稿をしていたとされています。

 ネットは隠せない世界であることは本コラムでも度々述べさせていただいていますが、本コラムの「軽い“つぶやき”が重大な事態を招く」(2011年8月10日)、「SNSで不祥事続発、企業側対策の決定打とは?」(2012年1月11日)でご紹介した、ウェスティンホテル事件、アディダス事件を引き起こした2人の女性従業員が、事件発覚後に、あらゆる手段でその個人情報を収集されネット上でさらされたのは有名な話です。

 最近、SNSの講演をするにあたって、再度、その情報が今も残っているかを確認してみましたが、いずれの事件も既に発生から1年半以上経過しているのに、いまだに、彼女らの情報はネット上に残っていました。むしろ、事件発生直後より整理された形になっていたのは驚きでした。

 ちなみに、ウェスティンホテル事件の場合、事件を起こした従業員の氏名、生年月日、住所、中学高校名、受験予備校名、大学名、大学学籍番号、保有する資格などが、本人の多数の写真(中には成人式?の写真まで)と一緒に掲載されています。つまり、本人は匿名でネットを利用しているつもりでも、名前を出している他の情報と組み合わせていくことによって、容易に氏名や住所が判明してしまうのです。

GPSで自宅住所の割り出しも

 ストーカー事件も、ネットの進化と共に変化します。ストーカー犯に知られている電子メールアドレスを抹消しても、検索によってフェイスブック利用が知られ、フェイスブックのメッセージ機能を使って連絡をしてくることも考えられます(フェイスブックの設定を間違っていれば登録のメールアドレスも知られてしまいます)。ネットを駆使すれば、何らかの本人への連絡手段を発見していくことはそれほど難しくはありません。

 さらに危険なのが、スマホのGPS機能による位置情報の問題です。位置情報サービスがあることで、目的地への交通手段や最短ルートを調べられるなど大変便利ですし、近隣の店舗やイベントの情報も自動的に取得できて、利用者には本来歓迎されるべきものです。位置情報機能を活用したアプリも次々と開発されています。今年の秋には、専用アプリケーションをスマホにインストールするだけで、居場所が知りたい「彼氏」の現在の位置情報がサーバーから入手できるようなサービスまで出現し話題になりました(様々な議論を巻き起こした末に10月10日にサービス終了しました)。

 写真撮影時に、GPS機能を有効にしたままにしておくと、写真だけをネットに公開しているつもりが、実は撮影場所まで公開していることになりかねません。自宅で撮った写真に位置情報が付いていたとしたら、どんなに用心していても、ストーカーに、自宅住所を割り出されてしまう可能性もあるのです。

 かように、公式の住所録に名前や住所を載せなければよかった古き良き時代は既に終わりを告げ、思わぬところで、自分の住所や現在いる場所の情報が第三者に知られてしまうのです。このようなネット新時代にふさわしい、ストーカーに対する自衛策も求められていると言えるでしょう。

2012年12月12日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 


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