SNSトラブルで非難殺到

   

SNSトラブルで非難殺到、適切な“鎮火”方法は?


相談者 SKさん

  • イラストレーション・いわしま ちあき

 「ツイッターで、一方的に貴社からの宣伝メッセージが送られてくるので不愉快です。一体どういうことですか?」。こんな問い合わせが広報部に殺到しました。酒類を販売している当社が実施した、ワインにちなんだエッセーを募集する販促キャンペーン「ワイン物語大賞」の告知に、ツイッターを利用したのが反発を招いた原因でした。

 企画会社とアイディアを詰めていく中で、ツイッターで、これまでとは違う客層にアプローチしようということになり、ユーザーが投稿したキーワードに反応して自動でメッセージを返信するBOTと呼ばれる仕組みを使い、キャンペーンを計画してみたのです。

 具体的には、ツイッターで「ワイン」というキーワードを使うと、「ワインにまつわる思い出のエッセーを募集しています」などというメッセージが自動的に送られるわけです。企画会社の担当者によれば、これは、有名なツイッター上でのキャンペーン成功例と同じ仕組みなのだそうです。

 満を持して実施したキャンペーンでしたが、予想外の反応にインターネット推進室長の私は動揺しました。かといって、それなりに費用もかけて始めたキャンペーンをすぐにやめるわけにもいきません。「時間がたって、きちんと実情が分かればいずれ収まるだろう」と安易に考えて数日間放置していましたが、ネット上の“炎上”は一向に収まる気配がありません。

 そこで、やむなく、ツイッター上のアカウントを停止して、キャンペーンを中止しました。個人情報漏洩ろうえい事故のように、誰かに被害を与えたわけでもないので、ホームページにおわびを出すこともせず、何事もなかったように装いました。

 素早い対応ができた――と自画自賛していたのですが、やがて「不祥事を隠蔽するとは何事か」とネット上では、新たなバッシングの嵐が吹き荒れ、さらに炎上しました。マスコミにも面白おかしく取りあげられ、“鎮火”に手間取り、キャンペーンは失敗し、関連商品の売り上げは大きく落ち込みました。

 一連の騒動で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の威力とともに怖さを思い知らされました。

 当社は、今年の春に「そろそろ何らかの対策を実施しなければ」と、SNSに関する記事をネット検索したところ、このコーナーの「軽い“つぶやき"が重大な事態を招く」(2011年8月10日)や「SNSで不祥事続発、企業側対策の決定打とは?」(2012年1月11日)を見つけました。

 記事のアドバイスに従って、SNSに関する社内研修を何度か実施したほか、ソーシャルメディア・ガイドラインを作成し、社員に周知徹底させています。自分で言うのも何ですが、急ごしらえではありましたが、SNS対策に関しては、それなりに取り組みが進んだ企業になったのではないかと思っていました。

 ただ、私が見落としていたのが、SNSで事故が発生した後の対応の整備でした。今にして思えば、SNSでの不用意な発信を防止するための社内体制をいくら整えてみても、実際に運用するのは人間です。何らかの手違いや運用者に魔が差して、不適切な情報を発信することもあるでしょう。また、今回のように、SNSを利用したキャンペーンの結果、事前の予想と全く別の反響が表れ、それが独り歩きする事態が発生することもあり得ます。

 人事研修やマニュアル作成などで、どんなに周到に準備して対策を練ったとしても、人間がかかわる以上、事故やトラブルが起きてしまうのは常識です。

 これは、2005年の個人情報保護法の全面施行の際に、各社が競って情報漏洩対策を実施したにもかかわらず、その後も、事故が発生し続けていることを見ても明らかです。

 そこで、質問があります。当社のように、ある程度SNSについて事前対策を整備した企業で、次に残る問題、つまり、それでも万が一、事件や事故が発生した場合にどのように対応するかについて、教えていただけますか。(最近の事例を参考に創作したフィクションです)

回答


新しいステージに入ったSNS対策

 本連載も、今回で30回目となります。そこで、過去2回取りあげて、いずれも好評であったSNSに関する内容を再度選んでみました。

 本連載第1回の「軽い“つぶやき"が重大な事態を招く」(2011年8月10日)は、その年の1月に発生したウェスティンホテル事件や、5月に発生したアディダス事件が業界で話題になってはいたものの、当時、SNSに関わる法務リスクに焦点をあてた記事が余り見当たらなかったこともあり、非常に大きな反響がありました。その後、SNSにかかわる不祥事が続発するようになり、SNSが企業コンプライアンスにおける新たなテーマであるとの認識が定着するとともに、この問題を取りあげる書籍やメディアの記事も多数出回るようになり、同種の解説がちまたにあふれるようになりました。 

 今年の1月の「SNSで不祥事続発、企業側対策の決定打とは?」(2012年1月11日)は、大手監査法人によって、2011年8月から9月にかけて実施された、企業のソーシャルメディア対応に関するアンケート結果が12月に発表されたのを受けて、企業におけるSNSへの対応が遅れていることに警鐘を鳴らす意図で書いたものですが、こちらも幸い好評であったようです。

 さて、私の認識では、これまでは、企業として、SNSの事件事故をどのように防止するかという観点で議論されてきましたが、近時は、発生してしまった事件事故に対してどのように対応するのが適切なのかという議論へと、重点が移ってきた気がしています。そこで、今回はこの点に焦点をあてて解説してみたいと思います。

 とはいえ、今まさに、ブランド衣料ネット通販を手がけるゾゾタウンを運営するスタートトゥデイ社長が、10月20日にツイッター上で発した発言(ゾゾタウンの送料手数料が高いとの趣旨の一般利用者のつぶやきに対し、「ただで商品が届くと思うんじゃない」「2度と注文しなくていい」などと発信した件)が騒動を引き起こし、メディアで話題を集めています。この発言は、社長個人の発言であり、企業としての正式の発信ではありませんが、同社の株価にまでも影響を及ぼす事態を招いており、SNSの事前対策はこれからも必要ですので、過去2回の記事も、この機会に参照していただければと思います。

 なお、前述の過去2回の記事では、社員個人のSNS利用に伴う不適切な発言により引き起こされた事件を取りあげました。今回は、O2O(Online to Offline)に注目が集まる中で、SNSを企業がマーケティングに活用する過程で発生した事件を取りあげてみました。事後の対策は、個人の発言に端を発する場合も、企業のマーケティング活動に端を発する場合でも、基本的には同じですので、それを前提に本記事を読んでいただければと思います。

事後対策の一般論

 現在、多くの企業が、万が一、個人情報漏洩ろうえい事故などが発生した場合に備え、何らかの体制作りをしています。そして、基本的には、その事後対応に関する取り組みは、SNSを端緒とする事件事故の場合にも変わりません。いずれも、コンプライアンス体制構築の一環という意味で、その根幹を同じくするからです。ただ、もちろんSNS特有の問題があり、それに伴う注意点などもあります。今回は、SNS特有の対応に限定して説明していきたいと思います。

 さて、SNSにおける事件事故発生後の対応策として重要なのは、いかにして炎上させずに事態を手際よく収束させていくかの手法であり、基本的には、WEBモニタリングなどによる早期の火種の発見、炎上の度合いを見定めての素早い対応(意見表明など)及びそのための体制準備といったことなどが挙げられると思います。

火種の早期発見の重要性

 炎上する前には、必ず、一定の苦情等の書き込みが寄せられるようになり、それがSNSの持つ伝播でんぱ力によって急速に拡大していくことから、その火種の段階を、少しでも早く把握することが必要となります。

 SNSの場合、ネット上が舞台となりますので、WEBのモニタリングをすることが重要となります。ちなみに、企業法務では、「モニタリング」という言葉が、特定社員のメール内容をチェックするという意味でよく使われたりしますが、ここでいうWEBモニタリングとは、公開されているSNSにおける発言の動向などをチェックするという趣旨であり、内容を異にします。

 この作業は、人的リソースがあるなら、SNSに対する理解の高い社内担当者で実施するのでもよいでしょう。そのような人材が社内にいないなら、専門にそのような業務を請け負っている企業もありますから、それを活用するという選択肢もあります。

 少しでも早く炎上の火種を見つけるために、どのように対応するかということですから、言うまでもなく、WEBを直接監視するという方法ばかりではなく、最初にあらゆるクレームが入ってくる、企業の相談窓口での情報収集も重要になります。ただ、相談窓口には、玉石混淆こんこうの様々なクレームが届きますので、その中からWEB関連のものを抽出して、関連部署(ご相談者が所属する「インターネット推進室」のような専門部署)に情報が直ちに伝わる体制の構築が必要です。

 通常のクレームの場合は、一分一秒を争って対応しなければならないような内容は少ないでしょうが、従来のメディアに比べて極めて伝播速度の速いSNSを端緒とするクレームの場合は、後述のように時間との勝負になるので注意が必要です。

早期の鎮火活動が重要

 そして、炎上の火種を見つけたら、直ちに広範な情報収集活動に動くことになります。その際、後述のように、いかにスピードが大事だとしても、慌てて、事実確認もせずに外部に向けて対応を取る必要まではありません。SNSの場合、介入によってかえって逆反応を示す可能性もあり、他面、自然鎮火することもあるからです。つまり、初動の遅れが致命傷になる可能性があることも十分認識しながらも、どの時点で、対外的に動き出すべきかどうかを見極めることになります。

 そして、情報収集を一通り実施した段階で、もはや自然鎮火を期待できないと判断したら、直ちに積極的な活動を開始します。つまり、素早く企業として、事実調査の発表や謝罪などの意見表明を行うべきです。

 ここでいう意見表明は、基本的には、ツイッターの公式アカウントやフェイスブックの企業ページなど、問題発生の端緒となったSNSを活用して情報を発信するということになります。もちろん、自社のホームページでも正式の見解を公表して、同時にツイッターやフェイスブックからの発信でリンクをはることになります。プレスリリースや記者会見まで行うかどうかは、事件の深刻さの度合い等、状況に応じてということになるでしょう。

 なお、相談窓口での対応の不備が、さらにネット上で取りあげられて、問題とされる可能性が高いという意識を持ち、リアルの世界における相談窓口での対応と、ネット上での事故対応を十分にリンクさせることが必要となります。特に炎上初期においては、一般的なクレーム次元を超えた、感情的な電話での問い合わせも増加しますので、そのあたりの対応の指導は重要です。炎上時などに、企業に対し電話で組織としての見解を問いただす活動を、ネットの世界で「電突(電凸(でんとつ))」などと呼びますが、大規模炎上事件では、ネット上でそのための効果的なマニュアルが共有されたりもしていますので、そういった視点も共有しておくべきです。

事実を誠実に開示する

 事故対応における意見表明で遵守(じゅんしゅ)すべきなのは、上記のようなメディア上で、基本的に、「事実」を誠実に開示し続けるということであり、批判等に対して、直接の「反論」や「釈明」は行わないことです。

 炎上の最中に、さらにそれを煽(あお)るような発言をすることを、ネットの世界では「燃料投下」などと呼びます。たとえば、自社社員の不用意な発言で炎上している最中に、自社のホームページにおいて、自社社員の過ちを認めながらも、「本件に関連し、本件と直接関係ない事柄において、当社の信用を著しく傷つけるような違法な書き込みが認められた場合には、当社としてもしかるべき法的措置を取る予定です」などと書くのは、「燃料投下」の典型例と言えます。

 ある不祥事に際して、その弱みにつけ込んで、その他の問題も含めて、あること・ないこと書かれてしまうと、つい、そのような警告的一文を書きたくなる気持ちは十分に理解できますが、そこは我慢すべきです。

 この点、東京地方裁判所平成15年7月17日判決も、次のように判示し、掲示板における炎上中の反論の無意味さを指摘していますが、SNSでも同じことです。

 「被告が指摘するように本件ホームページに書き込まれた発言によって名誉や信用を毀損(きそん)されたと主張する者は本件ホームページ上で反論することも不可能ではないけれども、…スレッドにおける発言は、そのほとんどが原告らを社会的に陥れるような内容であって、不特定多数の利用者が原告らを一方的に攻撃する状況にあったと認められるから、そもそも原告らと対等に議論を交わす前提自体が欠けており、原告らによる反論がその社会的評価の低下を防止するような作用を働かせる状況にあったとは認め難」いのです。

事実を隠蔽したとの印象を与えないための配慮

 本件相談で、ご相談者の方は、問題となった事案について「誰かに被害を与えたわけでもないので、ホームページにおわびを出すこともせず、何事もなかったように装いました」と述べていますが、結局、「不祥事を隠蔽するとは何事か」とネット上で、新たなバッシングの材料とされています。

 ネットは、隠すことができない社会です。炎上を恐れた隠蔽行為はかえって混乱を招きかねません。仮に隠蔽の意図が全くなくても、対応の仕方によっては、「真実を闇に葬ろうとしている」という印象を与えてしまい、炎上を拡大させる恐れすらあります。不都合な事実を消し去るという姿勢ではなく、事実は認めてそれを謝罪し理解を求めるという姿勢が正しいと思います。そういう意味では、事後対策において、常に事実を隠蔽したとの印象を与えないように、細心の注意を払う必要があります。

 なお、本件相談のように、企業キャンペーンに伴う事件の場合は通常、問題にならないでしょうが、社員による何らかの問題発言が端緒となった事案においては、その発言を削除要請したいという感情が往々にして生まれます。そして、そのような感情は、心情的には理解できますが、私としては、その後の反動を考慮して、慎重に検討した方がよいと思っています。世間から、上記のように、事実を隠蔽するために削除要請したとの印象を持たれると、かえって炎上する恐れがあるからです。

 ちなみに、言うまでもないことですが、SNSにおける不適切な発言などにとどまらず、SNSを通じた企業秘密や個人情報の漏洩に至った場合には全く状況が異なります。被害の拡大を防ぐために、削除要請等も含めた、漏洩情報の抹消に向けた、できる限りの対応を速やかに実施するべきです。

事故対応でもSNSを積極的に利用する

 SNSで問題を起こした場合に、同じメディアを使った対応を取るのは抵抗があるかもしれません。自社ホームページという、支配可能な、安全な手段だけで正式に情報を発信して事態を収束させたいと思う気持ちも理解できます。

 しかし、SNSにおける発言が、大きな事件につながるのは、その情報伝播と拡大の速さにあります。この特質を鎮火活動で利用しない手はありません。むしろ積極的に活用すべきと思います。

 SNSを利用した炎上の阻止事例の著名な例として、サウスウエスト航空における、ツイッターを利用した情報発信がよく挙げられます。2009年7月、サウスウエスト航空のフライト時に,機体にバスケットボール大の穴が開いているのが発見され、緊急着陸するという事件が起こりました。着陸と同時に乗客たちが一斉にツイッターを使って情報発信し、さらには穴の様子を写真や動画(YouTube)で投稿しはじめました。そのまま放置すれば会社の信頼性を揺るがし、炎上しかねない事態であることは言うまでもありません。しかし、サウスウエスト航空は、同社ツイッター責任者が、直ちに企業プレスリリースへのリンクをツイートし、謝罪するとともに、すべての飛行機を今晩中に検査すること、乗客の運賃を返還することを宣言し、炎上を回避することができました。

 これはまさにSNSの特質を最大限にいかした鎮火方法と言えるでしょう。

 SNSは、どこからどのように情報が伝播したのか分からないことに対応の難しさがあるわけですから、自社ホームページだけではなく、様々な手段を組み合わせて、より広く正しい情報伝達を行うのが適切です。

 ここで重要なのは、SNSだけで鎮火を図ろうと考えないことです。サウスウエスト航空の件も、公式ホームページに掲載された企業プレスリリースの情報をツイッターでシェアしたから信用されたわけで、ツイッターだけでは、その信憑(しんぴょう)性が崩れてしまいます。一方、公式ホームページだけでは、誰もそこに見に行かないから、意味がありません。広範囲に確かな情報の提供を行うという観点から、公式ホームページでの情報開示と、そこに導くツイッターの利用という、情報伝達手段の併用が功を奏したわけです。 

 以上、個別に事故対応をご説明してきましたが、次に、事件事故を起こしながらも、適切に対応して、うまく鎮火に持って行ったと評価されている事例を具体的に取りあげてみたいと思います。読者の皆さんには、特に、事件処理の時系列に注意していただきたいと思います。

鎮火に成功したとされる具体的事例(1)

 本件ご相談のように、企業におけるマーケティング利用の過程での不適切なSNS利用で問題となった事例における早期鎮火の成功例として有名なのが、大手コーヒーチェーンUCCの事件です。

 問題になったツイッター上のキャンペーンは、コーヒーにちなんだエッセーや画像などの作品を募集するものであり2010年2月に実施されました。11のアカウントを使い、ユーザーがつぶやいた「コーヒー」「懸賞」などの30のキーワードに反応して、宣伝の返信(「コーヒーのエッセーを募集しています。詳しくはこちら」)を自動プログラム(BOT)で送信するというものでした。

 このキャンペーンは、BOTを使った有名なマーケティングの成功例である、グリコ乳業の「ドロリッチなう」を参考にしたものです(正確に言えば、企業が実施したキャンペーンではなく、製品のファンによる勝手キャンペーンです)。

 しかし、フォローしていないアカウントから一方的に宣伝が届いたため「UCCがスパム的なリプライを送っている」として炎上しそうになりました。

 同社は、キャンペーンを午前10時に開始しましたが、その後、開始から1時間半たった11時30分頃には、社内でツイッターを監視していた社員から「当社のキャンペーンが批判されている」との情報が、同社でネット事業を統括するグループEC推進室に報告され、キャンペーンは12時までに中止されました。

 その後、13時頃には、社長に報告が上げられ、「すべての情報を正直に出して謝罪する」との決断を経て、15時20分には企業としての正式の謝罪文を公開しました。

 このように、相応な準備期間と費用をかけたキャンペーンであったにもかかわらず、その開始から2時間で中止が決まり、その数時間後に正式の謝罪文が掲載された対応に対して、ネットユーザーからは「早い!」との驚きの声が上がりました。

鎮火に成功したとされる具体的事例(2)

 次に、本件ご相談とは異なりますが、社員個人による不適切な発言に対して、企業対応が評価されている事例として著名なものに、2011年8月に発生した、ネット上のポイントサービス運営会社であるネットマイル社社員による、社員採用面接実況中継事件が挙げられます。

 本事件は、2011年8月9日16時過ぎから17時過ぎにかけて、同社男性社員が、30歳の専門学校生を採用面接している模様を、「google+」で実況中継したとされる事件です。その内容が、例えば、「自己紹介中だけど慣れてるから笑わない『ぼっぼくは…○○専門学校から来た、○田慎んん吾です』噛みまくりだよww そして声が小さいよ。」などという、対象者を侮辱するようなものであったことから、同日21時20分頃から2ちゃんねる等で話題になり、クレームメール約50通が会社に送られる騒ぎになりました。

 同社では、同日23時頃、社内で緊急調査を行った結果、事実関係が判明し、同社経理本部所属の男性社員に電話連絡をしたところ、そのような書き込みをしたと事実関係を認めたため、8月10日0時20分には「google+」のアカウントを抹消して、問題の書き込みも削除しました。

 そして、同日4時15分頃、ネットマイル社のサイトに、同社代表取締役名義による「お詫(わ)び」を掲載し、4時55分頃、同社のツイッターアカウントでも「お詫び」を掲載。さらに、9時20分には、同社の内定者及び採用面接者に事情説明を開始、9時30分より、取引先に事情説明を開始、その後、同日中に問題の書き込みをした社員の処分を実施しました

 この対応につき、深夜から早朝という時間帯であったにもかかわらず、ネット上で騒ぎになり始めてから7時間足らずで、早朝のお詫び文掲載にまで至った、その早さを評価する声が上がりました。

一番大事なのは、発見、決断におけるスピード

 SNSがなぜ大きな事故を引き起こすかといえば、それは、発信した本人すら予想していないほどの、情報伝播と拡大の速さにあります。この点は、本連載での過去2回の記事で詳細に説明しています。逆に言えば、対応が遅れれば、企業も想像しなかった範囲に情報が拡大し、取り返しがつかない状況となるわけです。

 従って、SNS事故対応において一番大事なのは、やはり、楽天が掲げている「成功のコンセプト」にある有名な言葉「スピード!!スピード!!スピード!!」に尽きると思います。前述した、二つの事件では、時系列を追ってみると、本当に驚くほどのスピードで事件が処理されているのがお分かりになると思います。

 企業としては、初動の遅れが致命傷になる可能性があることを十分認識して、スピード感をもって、対応を進めるべきだということです。そして、スピードある対応に不可欠なのは、WEBモニタリングなどによる、炎上の火種の早期発見と、時々刻々と変化する事態に、適切、柔軟、迅速に対応できる社内体制の確立です。

 SNS対策が新たなステージに至った今日、各企業は、単に事前の事故対策を実施するにとどまらず、実際に事故が発生した場合における対応策を、今のうちから十分に検討しておく必要があると思われます。

2012年10月24日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 


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