借金の尻ぬぐいで

   

借金の尻ぬぐいで「勘当」した息子、相続から除外できる?


相談者 SIさん


  • イラストレーション・いわしま ちあき

 「この子のためなら自分の命さえ惜しくない」と生まれたばかりの長男を抱きながら、心の底からいとおしく思ったものです。結婚して5年目、30歳を過ぎてようやく授かった待望の第1子でした。それから40年。夫は「あのくず野郎は勘当だ」と叫び、長男を家から追い出しました。葬式にも呼ばないように私に厳命しています。もちろん遺産など、1円たりとも渡すつもりはありません。

 息子と娘の2人の子供のうち、長男は箸にも棒にもかからない“不良品”です。息子は親を親とも思わない、ひどいことをしてきました。夫は70歳を超えており、そろそろ相続を考える時期にさしかかっています。私たちは、何としても息子に財産を与えたくないのです。

 わが家の恥を包み隠さずお話ししましょう。真面目で優しかった息子は、高校卒業後の3年間の浪人生活で別人になってしまいました。予備校の授業に出ず、ゲームセンターや居酒屋に入り浸りの自堕落な生活では、大学も受かるわけがありません。夫は大学進学を諦めさせ、無理に就職させました。社会人になって真面目に働くはず、と“更生”を期待したのですが、とんでもないことでした。

 競馬やパチンコ、車の購入、女性との交際費などで借金を増やし、勤め先の会社から給料、ボーナスの前借りをする始末です。とうとう不良社員の烙印を押され、解雇されました。その後、自動車販売の仕事を始めましたが、うまくいくはずがなく、交通事故もおこして、借金は膨らむばかりです。そのたびに夫に無心してくるのです。

 「親だから息子の面倒を見るのは当然」「どうせ俺があんたたちの老後の面倒を見るんだから」と、大声をあげて、息子は要求、いや恫喝どうかつするのです。

 息子の債権者の中には、いわゆるヤミ金(闇金融業者)がいました。ヤクザ同然の彼らに息子は殴られ、顔にあざをつくって帰宅したことがあります。その後、息子が借金を返さず逃げたため、人相のよくない男たちに家を見張られました。電話で「息子を出せ」と脅され、ついには数人が玄関先に押しかけた挙げ句に、近所にも聞こえるような大声で私たちを罵倒したのです。たまりかねた夫は警察に通報しました。地獄でした。

 5年ほど前、数々の借金に加え、息子が「生前贈与」として夫に自宅不動産の権利証の交付を要求したことで、私たちは、ついに腹をくくりました。

 夫は息子に勘当を“宣言”したのです。自宅はもちろんのこと、私や娘に近づくことすら禁止しました。息子が捨て台詞を残して出て行った後、夫は、私と娘に真剣な表情でこう言いました。

 「あいつ(息子)には二度と家の敷居をまたがせない。ちゃんと自立・更生しない限り、同じことを繰り返し、どん底にちるはずだ。血を分けた息子だが、一切の縁を切り、かかわらないようにするよ。俺の葬式にも呼ぶな」

 息子は自宅を追い出された後も借金を重ね、ついには自己破産しました。恥知らずなことに、夫に引っ越し代を要求したり、息子に数百万円を貸したのに破産で取りはぐれた友人らが、私たちに返済を求めたりすることが続きました。

 息子には、もう十分すぎるほど、私たちの財産を使っており、その分を相続させたと考えれば、残った夫の財産を息子に分け与える必要などないと考えています。本で調べたところ、仮に遺言書の中で、相続財産をすべて妻と娘に渡すと書いても、息子には遺留分というのがあり、一定の財産を分け与えざるを得ないということでした。あれほど、ひどいことをして私たちに迷惑をかけ続けた息子です。実子というだけで一定の相続財産を渡さなければならないなんて、とんでもない話です。息子に対して、夫の財産を渡さない方法はないでしょうか?(最近の事例を参考に創作したフィクションです)

回答


戦前の「勘当」と同じ究極の法的手段


「廃除」とは何か

 最近、「相続税増税」という話が世間を飛び交い、雑誌などでも相続にかかわる特集記事が組まれるなど、にわかに相続への関心が高まっているようです。

 4月11日付の本連載「遺言書がないと、遺された妻は亡き夫の兄弟に財産を奪われる?」は、読者の方の反応も大きく、難しい法律解説が含まれているにもかかわらず、記事ランキングでもしばらく1位を続けていました。このように、相続に関する話題がちまたにあふれる中で、そういう特集記事などにほとんど出てこない相続上の制度が、「相続人の廃除」です。

 廃除とは、被相続人(本件相談者のご主人のことです)が推定相続人(問題のある息子さんのことです)から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはその他の著しい非行が推定相続人にあったときに、家庭裁判所に請求して相続人の資格を奪うという制度のことです(民法892条)。

 つまり、戦前における「勘当」と同様に、相続人としての資格そのものを奪ってしまうという、ある意味、究極の法的手段が廃除なのです。

 相続人の資格を奪う制度としては、他にも、「相続欠格」という制度があります(民法891条)。例えば、(1)故意に被相続人あるいは相続について先順位・同順位の相続人を殺したり殺そうとして、刑に処せられた者(2)詐欺又は強迫によって被相続人に遺言をさせたり、既にした遺言を取り消させたり変更させたりした者(3)遺言書を偽造したり、既にある遺言書を変造したり、破棄したり、隠匿したりした者など――は相続人の資格を失うことになります。この相続欠格制度が、法律上、一定の事由が発生することにより、当然に相続権を奪うのに対して、相続人廃除制度は、「被相続人の意思」によって、相続権を奪うというところに違いがあります。

遺留分も奪うことができる!

 前記4月11日付記事の中で出てきたように、相続には、「遺留分」という制度があります。遺留分とは、簡単に言えば、遺産の最低限度の取り分として遺産の一定割合の取得を法が保障したものであり、それに反する内容の遺言書があっても、法定相続人はその最低限の財産を取得できるようになっているものです(民法1028条)。子供の場合は、通常の相続分の2分の1が遺留分となります。

 原則としては、相談者のご主人が、自分のすべての財産を、妻と娘にだけ相続させると明記した遺言書を作成しても、この遺留分の制度がある以上、息子さんは、本来の相続分である4分の1(法定相続分は、配偶者が2分の1、子供が2分の1であり、本件では子供が2人いるので、2分の1をさらに2人で分けるので4分の1となります)の2分の1にあたる、8分の1の取り分は保障されており、その分の財産を取得する権利があるわけです(民法1028条)。

 つまり、遺留分がある限りは、相談者のご主人による、遺言書に明記された意思(「息子には何も財産をのこさない」)にもかかわらず、息子さんは、奥さんと娘さんに対して、侵害された全遺産の8分の1にあたる遺留分を返してくれと主張することができることになります。これに対して、仮に廃除が認められれば、遺留分を含む相続権そのものを奪ってしまうことになりますので、遺言書さえきちんと作成すれば、問題の息子さんには、ご主人の意思通りに、一銭も渡さないことが可能となります。

 ただ、子供の立場にしてみれば、親とごく普通に接してきたにもかかわらず、例えば、息子より娘の方が可愛いからというように、単に好き嫌いとかで相続権を奪われたのではたまりません。そこで、法律は、廃除が認められる場合を民法892条において限定的にしています。つまり、単に仲が悪いとか、悪口を言われたとか、言うことを聞かないなどという理由で廃除することは認められず、廃除が認められるには、条文に明記されたような、相応の理由がある場合に限られているわけです。

第892条
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。



廃除が認められる場合とは

 では、廃除が認められるのはどういった場合でしょうか。条文には「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」などといった事由が挙げられていますが、いずれも抽象的な言葉なので、具体的に何をどこまでしたら、廃除に該当するのか不明確です。そこで、実際に廃除が認められた近時の裁判例を、以下、いくつか挙げてみたいと思います。

事案(1)

 甲(大正13年生)の推定相続人は、長女A、長男B、次男Cである。甲の夫は昭和54年に死亡し、その後、甲は次男Cと同居したが、昭和55年には、長男B家族と同居するようになった。長男Bには妻Dとの間に4人の子がいる。甲は、長男B家族と同居を始めた頃、リュウマチを発症して、Dの介護を受けて生活していたが、平成10~11年頃、症状が悪化し歩行ができずにベッドでの生活になり、身体障害者1級の認定を受けた。

 長男Bは、その頃から女性と関係を持ち、自宅を出たり戻ったりするようになり、平成11年にDと離婚するにいたった。しかし、その後も甲はDとその子たちと同居し、Dの介護を受け続けた。長男Bは、離婚前にDの求めに応じて自己名義の自宅建物をD名義に変更したが、離婚後、子供や甲に対する扶養料は一切払わず、家に戻ることはなかった。

 甲が月3万円の生活費をDに渡し、Dのパート収入と合わせて家計を維持し、Dの子供らが就職後家計を援助した。長男Bは、離婚の翌月、親族に何の相談もないまま、甲の夫が死亡した際にBが相続した田畑の半分以上を売却した。甲は、この年、公正証書で、長男Bのこれらの行為は人道に反するものとして廃除の遺言を行っている。

 長男Bは、平成17年頃所在は判明したものの、連絡がつかない状態であり、平成18年に甲が死亡した際にも電報で知らせたが、葬儀には参列しなかった。離婚後、韓国人女性と婚姻して2子をもうけ、日本と韓国を行き来しているようであるが、詳細は不明であり、廃除の申し立てに対しては、自身の生活費が必要であるため、財産を現金化することはやむを得ず、また扶養の余裕もないから、自身の行為は人道に反するものには当たらないと主張している。

裁判所の判断(福島家庭裁判所平成19年10月31日審判)

 「相手方は、被相続人の長男であり、妻子とともに被相続人と同居していたところ、被相続人が70歳を超えた高齢であり、身体障害者1級の認定を受けて介護が必要な状態であったにもかかわらず、被相続人の介護を事実上妻に任せたまま出奔し、妻と調停離婚した後にも、未成年の子ら3名や被相続人の扶養料を支払うことも全くなく、被相続人の夫から相続した田畑2588平方メートルを被相続人や親族らに知らせないまま売却し、それ以後も被相続人や子らに対して自ら所在を明らかにしたり扶養料を支払うことがなかったというのであるから、相手方のこれら行為は、悪意の遺棄に該当するとともに、相続的共同関係を破壊するに足りる著しい非行に該当するものと認められる。」として、廃除を認容した。

事案(2)

 申立人甲は、昭和44年に結婚し、長男A、次男Bをもうけた。甲の妻は平成13年に死亡したため、甲の推定相続人は、AとBの2人になる。Aは中学時代にコンビニで万引きしたのを手始めに、以後窃盗等を繰り返して何度も刑務所に服役し、相続廃除の審判当時も在監中であった。このほかにも交通事故を繰り返したり、借金を重ねたりしたが、賠償や返済をほとんど行わず、甲が被害者らに謝罪し、賠償や返済等に努めて、これにより、多大の精神的苦痛を被るとともに、少なくとも、甲は400万~500万円を負担した。

 甲は、平成16年頃に公正証書で、全財産(評価額1300万円の自宅不動産や預貯金)をB(大学院博士課程に在籍し研究生活を送っている)に相続させる内容の遺言書を作成済みであり、将来における兄弟間の遺産争いを防ぐためにも、Aとの関係を断ち切るためにも、Aを推定相続人から廃除してほしいと主張。

 Aは、父(甲)と母が成績優秀なBを依怙贔屓(えこひいき)し、Aに厳しい態度をとることに反発し、窃盗等を重ねたと述べ、迷惑をかけたことは自認しつつも、廃除には納得できないとし、手切れ金として500万円ないし600万円を用意してくれるなら、これを受け入れるか、あるいは遺留分を放棄してもよいと主張しているが、甲はこれに応じるつもりはない。

裁判所の判断(京都家庭裁判所平成20年2月28日審判)

 「相手方は、これまで窃盗等を繰り返して何度も服役し、今も常習累犯窃盗罪で懲役2年の刑に処せられて在監中であり、このほかにも、交通事故を繰り返したり消費者金融から借金を重ねたりしながら、賠償や返済をほとんど行わず、このため、申立人をして被害者らヘの謝罪と被害弁償や借金返済等に努めさせ、これにより、申立人に対し多大の精神的苦痛と多額の経済的負担を強いてきたことが明らかであって、申立人に対する著しい非行があったと認めるべきである。そして、これまでの経過や事情に加えて、相手方が自身の行状につき申立人にも責任の一端があるかの如(ごと)く述べたうえ多額の手切れ金を要求しており、申立人がこれに応じる意思がないと述べていることからみて、両名の親子関係に改善の見込みがあるとはいい難く、その他,本件に顕(あらわ)れた諸般の事情を勘案すると、相手方を申立人の推定相続人から廃除するのが相当である。」

事案(3)

 甲には妻A、長男B及び長女Cの2人の子供がいる。Bは高校卒業後二浪して予備校に通っていた頃から遊興に金銭を費やすようになり、進学しないまま就職した後も、競馬、パチンコ、車の購入、女性との交際費等で借金を重ね、さらに自動車販売の仕事や交通事故で借金を増やした。

 このため甲が長年にわたりその尻ぬぐいをし、Bから返済を受けられなかった出費の合計額は2000万円以上になる。甲は自己資金だけではそれらの立て替えをすることができず、Cからも借金をしなければならず、Cから借り受けた600万円は死亡までに返済することはできなかった。

 Bの債権者の仲には、いわゆる闇金やBの友人がおり、Bが殴られて帰ってきたことや、関係者が甲の自宅を見張ったり、電話をかけてきたり押しかけたりし、近所にも聞こえるような大声で罵倒され警察を呼ぶような事態を生じたこともある。Bは、A及びCと同居していたが、上記のように借金が重なったほか、Bが甲に自宅不動産の権利証の交付を要求したこともあり、平成14年4月頃、甲から勘当と言われ、自宅に近づくことを禁止された。

 その頃、甲は、自らが倒れたときに開封するようにと、Aに対し手紙を記した。そこには、Bは勘当した身であるから二度と家の敷居をまたがせないこと、Bは親戚の牧師に頼み、自立・更生させない限り、同じことを繰り返し、親・姉を路頭に迷わせどん底に墜ちることになるから、間違ってもAは二度と一緒に暮らそうなどと考えず、CはBと縁を切って関わらないこと等が記載されている。

 さらに、甲は、平成14年8月に自筆証書遺言を作成した。そこには、預金をAに与えること、自宅不動産については、仮にAに相続させるとBがこれを抵当にして借金することが明白であるから、これを防止するためにCに相続させ、Aが1人で暮らせる間は維持補修し、特別養護施設等に入所する際には処分し、その費用にあてることのほか、Bへの2000万円以上の貸金については、その貸し借りを解消し、Bのその他一切の相続を認めない(廃除)ことが記載されている。

 Bは、自宅を追い出された前後から、親戚である牧師方に預けられたが、その後も借金を重ね、自己破産を申し立てることになり、破産決定・免責決定を受けた。さらにその後も、甲に対して引っ越し代の無心をしたり、友人らから数百万円の借金を重ね、友人らが甲の自宅に来て返済を求めることなどがあり、甲はBを葬式には呼ばないようCに対して指示していた。平成20年に甲が死亡したが、Bは本件廃除の申し立ての前後にもAに対し無心を続け、Bを心配するAから合計200万円の送金を受けている。

裁判所の判断(神戸家庭裁判所伊丹支部 平成20年10月17日審判)

 「推定相続人の廃除は、相続的協同関係が破壊され、又は破壊される可能性がある場合に、そのことを理由に遺留分権を有する推定相続人の相続権を奪う制度であるから、民法892条所定の廃除事由は、客観的かつ社会通念に照らし、推定相続人の遺留分を否定することが正当であると判断される程度に重大なものでなければならないと解すべきである」とした上で、「相手方の行為は、相手方が成人に達するころから約20年間、被相続人を経済的、精神的に苦しめてきたものといわざるを得ず、被相続人の苦痛は被相続人の死亡まで続いており、被相続人が心情を吐露したとみられる本件手紙及び本件遺言書の各内容、並びにいわゆる『勘当』の存在及び葬式ヘの相手方出席に関するCへの指示などは、被相続人の怒りが相当激しいものであったことを示しているところ、相手方の行為による被相続人への経済的、精神的な苦痛の大きさやその継続に鑑みれば、被相続人の怒りも十分理解できるものであって、結局、相手方の行為は、客観的かつ社会通念に照らし、相手方と被相続人の相続的協同関係を破壊し、相手方の遺留分を否定することが正当であると判断される程度に重大なものであり、民法892条の『著しい非行』に該当するといわざるを得ない。」と判断し、廃除を認容した。

相続人廃除の方法

 相続人廃除を実行しようとすれば、その旨を家庭裁判所に請求しなければなりませんが、これには2通りの方法があります。

 1つは、被相続人が生きているうちに自ら請求する方法です。そして、もう1つは、遺言書で相続人廃除をする方法となります。なお、後者のように遺言書で相続人廃除をするときは、遺言者が亡くなって遺言書の効力が発生した後、遺言執行者が家庭裁判所に相続人廃除の請求をすることになります。

 詳細については、最寄りの家庭裁判所に問い合わせれば、書式も含めて色々と教えてもらえると思います。ただ、5月9日付の本連載「縁の切れていた亡父の莫大な負債、支払うべき?」でご紹介した、「相続放棄」の手続きと異なり、単に裁判所に申し立てだけして終わりというものではなく、裁判所が双方の主張を聞いて判断する手続きとなり、ある程度の法的知識がないと対応できないと思われます。仮に廃除を真剣に検討されるなら、後述のように、なるべく弁護士に相談されるのがよろしいかと思います。

結論として

 ご相談者の場合、まずは、ご主人が自ら家庭裁判所に対し、息子さんの相続廃除を求めて申し立てをすることを検討することになります。ご説明頂いた事情を見る限り、ご紹介した家庭裁判所の事案との対比からして、廃除が認められる可能性がある事案であると思われます。

 また、ご主人自らが、裁判所に対して申し立てまですることに抵抗があるなら、遺言書を作成して、息子さんを相続廃除する旨の意思表示を、遺言書内で明記しておくことが考えられます。この場合、ご主人が亡くなった際に、遺言書で指定された遺言執行者が家庭裁判所での廃除手続きを実行することになります(遺言執行者を定めていない場合は、家庭裁判所で遺言執行者を選任することになります)。この場合、遺言執行者は、相続廃除という法的手続きを実行することになりますので、そういう法的手続きの専門家である、弁護士を遺言執行者に指定しておくのがよろしいかと思います。そして、その遺言執行者に指定した弁護士との間で、ご主人が亡くなった後の相続廃除手続きに備えて、生前から、十分に協議を重ね、当該手続きの準備をしておけば、いざという時に慌てずに対応できると思います。

 なお、既にご説明したように、裁判所が廃除を認めるのは相応の理由がある場合に限られます。客観的かつ社会通念に照らし、推定相続人の遺留分を否定することが正当であると判断される程度に重大な事由がなければなりません。感情に流され、安易に廃除を決断するのではなく、その制度の持つ重みも勘案して、専門家とも十分に相談して、慎重に判断するべきでしょう。

2012年08月22日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 


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