並行輸入品の取り扱い、違法との線引きはどこに?

相談者 K.Kさん

 私は、個人でネット通販のサイトを作り、海外有名ブランドのバッグや財布、アクセサリーなどを販売しています。

 病気の夫に代わって私が家計を支えることになり、自宅でできるネット通販業を選びました。正規の代理店から仕入れると安く売れないので、様々な並行輸入業者から最新の商品、手に入りにくい商品を仕入れ、お得な値段で提供しています。おかげさまでユーザーさんからは高い評価をいただき、1年目からビジネスは順調、これから規模を拡大しようと思っていました。ところが、ある日、見知らぬ会社から突然、内容証明郵便が届き、喜びも吹き飛んでしまったのです。

 その会社は、私が取り扱っている商品に関する、日本における正規代理店でした。書面には、うちのサイトで取り扱っている商品はニセモノであり、商標権侵害をしているので、直ちに商品の取り扱いを中止しろ、また損害も賠償しろという内容が書いてありました。

 私も、ネットショップを開くにあたり、並行輸入について少し調べましたが、並行輸入の商品は、いわゆるニセモノ商品とは全く異なり、基本的には販売しても何の問題もないと聞いています。ただ、最近は、海外を拠点とするような、怪しいネット通販による、ニセモノ被害が発生しているようで、うちの商品も本物のはずなのですが、正規の袋がないというだけで、ニセモノではないかと苦情を言ってくるお客さんもいて、対応に困ることもあります。

 とはいえ、そもそも私が自ら輸入しているわけではなく、業者から仕入れて販売しているのですから、万が一、商品が本物ではなかったとしても、責任を問われるとすればその輸入業者ではないでしょうか。

 何しろ個人でやっているので、賠償ということになれば、とても手に負えません。夫を助けるために始めたビジネスがこんなことになって、胃が痛くなるような毎日です。私はどのように対応すればいいでしょうか。(最近の事例をもとに創作したフィクションです)

 

(回答)

「ニセモノ」に関するトラブルの増加

 国民生活センターは、昨年10月16日、「コピー商品・偽ブランド品・偽造品…『ニセモノ』に関する消費者トラブルに注意!-失うのはお金だけじゃない!?-」との報告書を公表しました。コピー商品、偽ブランド品等の模倣品をはじめ、DVD、ゲームソフト等の海賊版、コンサートチケット等の偽造品など、いわゆる「ニセモノ」に関するトラブルが増えており、ここ10年間の相談件数の推移をみると、2010年度から13年度にかけて急増し、13年度には4360件に達しているとのことです。

 昨年1月には、大手百貨店の催事で販売された米国の人気ブランド「チャン・ルー」(CHAN LUU)のブレスレットがニセモノだった可能性が強まったとして、百貨店大手数社が、商品回収すると発表して話題になりました。この事件は、その後、販売業者らが商標法違反の疑いで逮捕された旨が報道されています。

 この事件は現実の店舗(百貨店)で発生したものですが、インターネットによる通信販売の場合には、購入前に実際の商品や店舗の様子を確認することができず、サイトに掲載されている写真や情報だけが判断材料となることもあって、一層、トラブルも発生しやすいようです。国民生活センターが示した統計においても、ニセモノ関連相談全体に対する通信販売の割合は非常に高くなっています。さらに、ネット通販の場合、一部の悪質な業者などでは、連絡手段がメールに限られていて、送られてきた品物がニセモノと判明しても、その後事業者との連絡が絶たれてしまい、事後的な救済が不可能となる場合もあるようです。特に海外通販の場合はこの傾向は顕著です。一見すると、日本のサイトのように見えるものの、サイトの文面やメールのやり取りにおける日本語が不自然なものや、振込先口座が外国人名のものなどは要注意であり、国民生活センターは、13年12月に、「『インターネット通販の前払いによるトラブル』が急増!―個人名義の銀行口座への前払いはしない―」との資料を発表しています。

 さて、今回の相談は、並行輸入品の取り扱いに関する問題です。相談者も指摘するように、ニセモノと並行輸入品とは本来同列に扱うべきものではないのですが、世間では、並行輸入という言葉に余りよくないイメージを持つ人もいるようですし、現に、相談者のように、並行輸入品を巡ってトラブルに巻き込まれることも多いので、今回は、並行輸入の法的位置付けについて説明したいと思います。

並行輸入とは

 外国で製造された商品を輸入するに際し、日本における総代理店などによって国内に輸入するという流通経路を通らずに、外国で販売された商品を現地で購入した上、総代理店を通さずに総代理店以外の者が別ルートで輸入することを「並行輸入」といいます。

 この点、日本貿易振興機構(ジェトロ)のHPでは、次のように説明されています。

 「輸入される商品の中には、商標を付して販売されるものがあります。これらの商品は、一般にブランド品と呼ばれ、特に有名な商標(ブランド)の商品は、その商標権を持つ海外の製造者または輸出者と、日本の輸入者間の総代理店契約に基づいて輸入販売されることが一般的です。一方、この商品が、輸入販売に関する正式契約を結んでいない第三者の輸入者や個人業者によって輸入販売されることがあります。この第三者による輸入を並行輸入と言います」

 並行輸入品は正規代理店が取り扱う商品に比べ、通常は値段が安くなることや、正規代理店では取り扱っていない日本未入荷の商品も取り扱われていることなどから、人気を集めており、多くの業者が、並行輸入業務を行っています。

商標との関係

 並行輸入において主に問題となるのが、商標との関係になります。

 消費者はもちろん、各企業が円満な経済活動を行っていくためには、特定の商品やサービスに触れたときその商品やサービスは、だれが製造または提供したものなのか、その商品やサービスの質としてはどのくらいのものが期待されるのかといったことが分かるシステムが必要になります。そこで、商品やサービスに付される目印、すなわち「商標」が商標法によって保護されています。多くの人は、〇〇の製品だから高品質で安心だけど高いとか、□□の製品は品質はまあまあだがその分安いとか考えて購入するわけであり、当該製品の商標が、〇〇の製品だとか□□の製品だとかいう情報を、消費者に提供しているわけです。

 そして、海外ブランドの主要なものは、通常、日本でもその商標が登録されており、登録された商標の商標権者は、その登録された商標を使用する権利を専有しており、原則として、商標権者の許諾などを得ない限り、当該登録商標を付した商品の輸入販売をした場合、商標権の侵害となります。しかし、商標権者から商標の使用許諾を得ていなくても「真正商品の並行輸入」に該当する場合は、商標権の侵害にあたらないと考えられています。前述のように、真正商品とは、外国において権利者から正当に購入した商品など、いわゆるホンモノの商品ということです。

 日本でも、かつては、並行輸入は商標権を侵害するものとして運用されてきましたが、大阪地方裁判所・昭和45年2月27日判決(パーカー事件)が、真正商品を外国から輸入して日本国内において販売する行為は、日本国内における商標権の出所表示機能、品質保証機能などを害しないとして、真正商品を並行輸入して販売する行為は、商標保護の本質に照らして実質的違法性を欠き商標権侵害とはならないという画期的な判断を示したのです。

商標の機能とは

 パーカー事件判決は、真正商品を販売する行為は、日本国内における商標権の果たす機能を害しないとしているわけですが、これら機能とは何でしょうか。

 商標には、「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告・宣伝機能」の3大機能があると考えられています。

 「出所表示機能」とは、同一の商標を付した商品またはサービスは、いつも一定の生産者、販売者または提供者によるものであることを示す機能、「品質保証機能」とは、同一の商標を付した商品またはサービスは、いつも一定の品質または質を備えているという信頼を保証する機能、「広告・宣伝機能」とは、広告に使用することにより、その事業者の商品またはサービスであることを需要者・消費者に伝え、商品またはサービスの購買・利用を喚起させる機能をいいます。

 パーカー事件判決は、真正商品の並行輸入は、商標の果たすべき、これらの機能を害しないとしたわけです。

 1972年(昭和47年)には、大蔵省(注:当時)関税局から各税関長へ、「商標権に係る真正商品の並行輸入の取扱い」(昭和47年8月25日蔵関1443号)によって、真正品の並行輸入は商標権の侵害には当たらないものとして取り扱うよう通達され、真正商品の並行輸入は、税関では商標権の侵害にあたらないものとして取り扱われるようになっています。

フレッドペリー事件判決

 以上のような並行輸入商品を巡る歴史において、本件を説明する上で極めて重要なのは、一般には「フレッドペリー事件」と呼ばれている、著名な最高裁判所判決(平成15年2月27日判決)です。同判決も、「真正商品の並行輸入」に該当する場合は、商標権の侵害に当たらないとし、「真正商品の並行輸入」に該当する要件として、以下の3要件を挙げています。

<1>並行輸入品に付された商標が、輸入元の外国における商標権者または当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること。
<2>輸入元の外国における商標権者と日本の商標権者が同一人であるか、または法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、並行輸入品の商標が日本の登録商標と同一の出所を表示するものであること(つまり、商標の出所表示機能が害されていないこと)。
<3>日本の商標権者が直接的にまたは間接的に並行輸入品の品質管理を行い得る立場にあることから、並行輸入品と日本の商標権者が登録商標を付した商品とが、当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価されること。

 やや難しい概念ですが、これらの3要件が満たされれば、並行輸入によって商標権の果たすべき機能は害されず、「真正商品の並行輸入」にあたり、商標権の侵害とはならないこととなります。

 <1>の要件は「真正商品性」、<2>の要件は「内外権利者の実質的同一性」、<3>の要件は「内外品質の同一性」であり、これらの要件は、商標権侵害に対する、いわば違法性阻却事由とされているのです。

 つまり、並行輸入された商品が、A国で商標権者が販売した真正商品であり(<1>の要件)、日本における商標権者がA国における商標権者の子会社や代理店で商標権者がA国で付した商標が日本における登録商標と同じであり(<2>の要件)、日本における商標権者が登録商標を付した商品と品質において実質的に差異がない場合(<3>の要件)には、商標権を侵害しないこととなるのです。

 しかし、A国で安く販売されていたのは、日本における商標権者が販売している商品とは品質的には実質的な差異がある商品であったためであって、日本の登録商標が保障する品質と実質的に異なる商品が並行輸入されたといった事情があるような場合とか、輸入業者による日本国内での販売にあたって、包装の取り換えや詰め替えがなされ、それによって商品の品質が害される恐れもありえたような事情がある場合などには、商標権侵害にあたることになります。

真正な商品でも商標権侵害に

 たとえ真正な商品を並行輸入した場合であっても商標権侵害とされてしまう場合もありますので注意が必要です。

 これもやや難しい話になりますが、商標権者から商標権侵害訴訟が提起された場合、商標権者は、商標権を有すること、並行輸入業者が登録商標を使用していることを主張すればよく、並行輸入業者が真正商品の並行輸入により実質的違法性を欠くことを抗弁として主張することとなりますので、前述判決における<1>から<3>の各要件は、並行輸入業者が主張立証しなければなりません。ですから、並行輸入業者が、これらの要件を主張立証できない場合には、たとえ真正な商品を並行輸入したのであっても商標権侵害と判断されることになってしまいます。

 東京地方裁判所・平成18年12月26日判決は、並行輸入品がイタリアで製造されて香港経由で日本に輸入されたものであるが、どこの国で商標が付されたかは分からないと主張した被告に対し、<1>の要件を主張立証していないとして、商標権侵害を認めています。

 フレッドペリー事件判決も、外国における商標権者から商標の使用許諾を受けた者により、日本における登録商標と同一の商標を付された商品を輸入する場合においては、被許諾者が、製造等を許諾する国を制限し商標権者の同意の下請製造を制限する旨の使用許諾に定められた条項に違反して、商標権者の同意なく、許諾されていない国にある工場に下請製造させ商標を付した等の事情の下においては、真正商品の並行輸入として、商標権侵害としての違法性を欠く場合に当たらないと判示しています。これは、<1>および<3>の要件を充たさないとしたものです。従って、並行輸入品を取り扱う際には、こういった要件を満たしているか慎重に調査した上で実施する必要があることになります。

 必ずしも、ホンモノだから大丈夫というわけではないということです。

商標権侵害があった場合の法的手段

 商標権者が、第三者が商標権を侵害している可能性があると考えた場合には、通常、侵害行為を行っている者に対して警告状を送付して、侵害行為を止めるよう求めます。すなわち、真正商品の並行輸入と認められない場合、まず並行輸入業者に対して、商標権者から商標法に基づく差し止め請求がなされることが通常です。具体的には、商標権者は、商標法に基づき、侵害行為の停止、予防の請求、侵害行為を組成した物や設備等の廃棄と除却の請求ができることとなります。つまり、販売を中止することを求めるとともに、販売された商品の回収等も求めることができるのです。差し止め請求に関しては、商標権侵害者の故意・過失は要件とされておりませんので、商標権侵害があれば、差し止め請求は認められることとなります。

 また、商標権者は、商標権侵害により損害を受けた場合、不法行為に基づき損害賠償請求をすることができます。不法行為に基づき損害賠償請求する場合、商標権者は、商標権侵害者の故意・過失、権利侵害、損害の発生およびその額、不法行為と損害との因果関係を主張・立証する必要があります。差し止め請求とは異なり、商標権侵害者の故意・過失が要件とされていますので、商標侵害者に故意・過失がなければ、損害賠償請求は認められないことになるはずなのですが、商標法上、商標侵害者には「過失が推定される」こととされており、商標権侵害者において、過失の推定を覆さなくてはならないこととなります。

 さらに、通常の損害賠償請求においては、損害の発生およびその額、不法行為と損害との因果関係の立証が実際上困難な場合が多いのですが、商標法の規定によって、商標権者の立証責任が軽減されています。

 まず、商標権者が自ら登録商標を使用している場合であって、商標権侵害者がニセモノを譲渡したときは、その譲渡した商品の数量に、商標権者が、侵害行為がなければ販売することができた商品の単位数量あたりの利益の額を乗じて得た額を、商標権者の使用の能力に応じた額を超えない限度において、商標権者が受けた損害の額とすることができます。また、商標権者が自ら登録商標を使用している場合であって、侵害者がその侵害の行為により利益を受けている時は、その利益の額は商標権者等が受けた損害と推定されます。さらに、商標権者は、商標権を侵害した者に対し、商標権のライセンス料相当額の金銭を、自己が受けた損害としてその賠償を請求することができるとされています

刑事責任の追及も

 商標権侵害については、刑事事件として取り扱われる場合もあります。個人の場合、最高で10年以下の懲役しくは1000万円以下の罰金刑、またはこれらが併せて科せられます。会社の業務として行っている場合には、個人とは別に、法人に対して3億円以下の罰金刑が科される可能性があります(両罰規定)。

 冒頭で述べた「チャン・ルー」(CHAN LUU)のブレスレットに関する事件で、販売業者らが商標法違反の疑いで逮捕された旨が報道されているのは、これに基づきます。

販売業者の責任はどうなる?

 では、並行輸入行為が商標権侵害であった場合、本件の相談者のように並行輸入業者から仕入れて販売していた者(以下「販売業者」とします。)の責任はどうなるのでしょうか。

 相談者が述べているように、自ら輸入しているわけでなく業者から仕入れて販売しているのですから、「万が一、商品が本物ではなかったとしても、責任を問われるとすればその輸入業者ではないでしょうか」との疑問を抱くのは理解できます。ただ、結論としては、並行輸入業者が輸入した商品が、商標権者の商標権を侵害するものであれば、これを仕入れて販売していた販売業者も商標権侵害となってしまいます。相談者は、私はよくわからないから、輸入業者の方に文句を言ってくれとは言えないわけです。

 ただ通常の場合、商標権者から、(輸入等の事情を知らない)販売業者に対し、直接訴訟が提起されることは少なく、販売業者に対しては、差し止めおよび販売した商品の回収を求めるとともに、仕入先の開示請求、及び商標権侵害による損害額を算定するための資料、すなわち仕入数量・仕入価額、販売数量・販売価格等の提供を要求し、従わない場合には訴訟を提起するといった内容の警告書がまず送付されることが多いと思います。そして、前述のように、商標権者による差し止め請求権は、商標権侵害者の故意・過失を要件としていないので、商標権者から差し止め請求があった場合、商標権侵害商品を販売していたという事実さえあれば、差し止め請求は認められることとなります。また、商標権者による損害賠償請求権の要件である故意・過失も商標権侵害者の過失が推定されることとなっており、販売業者は過失の推定を覆さないと損害賠償責任を負うこととなってしまいます。つまり、法律の上では、販売業者であっても、並行輸入業者と同様の責任を負うことになるわけです。

並行輸入品を取り扱う際の注意事項

 以上のように、並行輸入業者から「うちの製品は全て真正商品ですし、何か問題があった場合にもうちが全部責任をとりますから安心して下さい」といくら説明を受けたとしても、その商品の販売業者自身の責任が回避されることになりませんから、並行輸入品を取り扱う際には相応の注意を払う必要があります。

 もちろん、販売業者が、商標権者に対する損害を賠償しなければならないような事態になった場合には、並行輸入業者に対して、被った損害の賠償請求をすることは可能と考えられます。ただ、並行輸入業者に賠償資力がない場合などには、結局、販売業者が損害を被ることになりかねませんし、資力はあっても、並行輸入業者が自らの非を認めず賠償責任を履行しない場合、裁判などの手続きをしないと損害を補填ほてんできず費用倒れになるおそれもあります。

 そして、何より重要なのは、顧客から販売した商品の回収をしなければならないような事態に追い込まれることによって、顧客や市場での信用を失うことになることです。

 したがって、販売業者が、並行輸入品を販売しようとする際には、仕入れ先である並行輸入業者に対して、「真正商品の並行輸入」となる前述3要件を備えているかどうかを確認しておく、もしくはそういった点をきちんと認識しながら業務を行っているような、信頼のおける業者を相手にして取引をすることが望ましいことになります。また、万が一の場合にそなえて、正規代理店などとのトラブルにより損害を被った場合にその損失をきちんと補填してもらう旨の契約書を、並行輸入業者との間で取り交わしておくべきですし、損害を補填するだけの資力のある業者を選択すべきです。さらには、警告書などが送られてきた場合には、誠意をもって対応してくれ、販売業者に対するケアも十分にみてくれるような誠実な業者から仕入れるのが望ましいと思われます。

 いずれにしても、相談者の場合のように、いざ警告書が送付されてきた際には、勝手な判断をせず、まずは仕入れ先である並行輸入業者と十分に連絡をとり、早急に、適切な対応を取る必要があります。

 商標権侵害ではないと勝手な判断をして販売を継続したような場合、後日、訴訟で商標権侵害でないと判断されれば問題はありませんが、万が一、商標権侵害と判断されてしまえば、販売を継続していた分だけ、損害賠償の金額も大きくなるばかりか、販売した商品の回収に伴う費用負担の増加や信用力の低下といった大きな問題に発展してしまう可能性があります。

 以上のように、ニセモノと並行輸入品とは本来同列に扱うべきものではないのであって、正当な並行輸入は、業者間の競争を促し、商品を消費者に対してより廉価に提供できることから、むしろ推奨されるべきものです。ただ、その取り扱いに当たっては、上記のようなリスクもありますので、並行輸入品を取り扱う際には十分に注意して行うべきです。

 

2015年02月11日 08時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 


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